吉田敦彦編「世界の神話101」を読む ―5(完)- 日本神話、神武天皇は4分の3が鰐??  ウガヤフキアヘズ、神々の名前は面白い、 日本神話はインターナショナル

吉田敦彦編「世界の神話101」を読む ―5(完)- 日本神話、神武天皇は4分の3が鰐??  ウガヤフキアヘズ、神々の名前は面白い、 日本神話はインターナショナル

 

 


 

いよいよ日本の神話です。

 

p190

 

国土創成と死の起源

 

天地がわかれた時に、天上の高天原に最初に発生したのは、アメノミナカヌシであった。

続いてタカミムスヒカムムスヒが発生するが、いずれもすぐに隠れてしまった。

 

五柱の神は、天の神の中でも特別な神ということで別天つ神という。

その後も・・・・神世七代と呼ばれる神々が出現する。その最後に登場するのが、イザナキ

とイザナミという男女の区別がはっきりとした神である。

 

天の神はこのイザナキとイザナミに、天の沼矛という矛を渡し、国を作り上げるよう命じた。

 

==>> さて、この一番目に出てくる神様なんですが、どういう意味合いの神様

     なのかを確認しておきましょう。

     Wikipediaには以下のように書いてあります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%B9%8B%E5%BE%A1%E4%B8%AD%E4%B8%BB%E7%A5%9E

     「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ、あまのみなかぬしのかみ)は、日本

神話の天地開闢において登場する神である。

神名は天の真中を領する神を意味する。『古事記』では神々の中で最初に登場す

る神であり、別天津神にして造化三神の一柱。『日本書紀』の正伝には記述がな

く、異伝(第一段の第四の一書)に天御中主尊(あめのみなかぬしのみこと)と

して記述されている。」

 

日本神話の第一番に出てくる神さまなのに、そして、天の真中を意味する神様

なのに、日本書紀の正伝には出てこないってのはどういうことなんですかねえ。

 

ついでながら、タカミムスビの神は、wikipediaより、

「『古事記』では高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、高木神、『日本書紀』で

は高皇産霊尊と書かれる。また葦原中津国平定・天孫降臨の際には高木神(たか

ぎのかみ)、高木大神(たかぎのおおかみ)という名で登場する。

別名の通り、本来は高木が神格化されたものを指したと考えられている。「産霊

(むすひ)」は生産・生成を意味する言葉で、神皇産霊神とともに「創造」を神

格化した神である。」

 

おなじく、カムムスヒの神は:

「カミムスビ(カミムスヒ、カムムスビ)は、日本神話に登場する神。別天津神・

造化三神のうちの一柱。」「『古事記』では神産巣日神、『日本書紀』では神皇産霊

尊、『出雲国風土記』では神魂命と書かれる。」

「『古事記』で語られる神産巣日神は高天原に座して出雲系の神々を援助する

祖神的存在であり、他の神々からは「御祖(みおや)」と呼ばれている。」

     「『日本書紀』では出雲系の神々が語られないため、カミムスビはタカミムスビ

の対偶神として存在するのみで特にエピソードは無い。」

 

・・・古事記的には、基本中の基本の機能をもつ3人の神様のように見えるの

ですが、日本書紀では冷たくあしらわれているようです。

     出雲との関わりの中で、書紀的には都合の悪いなにかがあったのでしょうか。

 

     日本神話の神様の名前というのは、実に分かりにくくて近寄り難い感じが

     するんですが、その意味をちゃんと読めば、なるほどなという感じになります。

 

     一般的には、イザナキとイザナミの二人の神々のところから、物語が

     始まるので、ご存じの方が多いかと思いますから、省略して、私が今まで

     知らなかったことを抜き書きしていきます。

 

p191

 

アメノミナカヌシの名はまったく見られない。 冒頭に登場することから、重要な神と

思われるので、この扱われ方は不思議に見えるかもしれない。しかし他の地域、特に

ポリネシアやインドネシアには、天上のもっとも貴い神が、その貴さゆえに崇拝の対象に

ならず、また名を呼ばれることもなくなる、という例がある。 こういった性格の神を

宗教学者のエリアーデは、「閑な神」と名づけた。

 

==>> なるほどねえ、上位過ぎて恐れ多いってことですね。

     そういうのは、会社の中でもありますよね。 お偉い方を気軽に呼ぶのは

     いろんな意味で躊躇しますからね。

 

 

p193

 

天の岩屋戸神話

 

そこで高天原の神々は、タカミムスヒの子であるオモヒカネを中心にアマテラスをいかに

して引き出すか、相談をした。

まず、常世の長鳴鶏を集めて鳴かせ、イシコリドメに鏡を、タマノヤに勾玉を作らせた

アメノコヤネとフトダマは占いをした。 そしてそれらを飾り付け、アメノコヤネが祝詞

を読み、アメノウズメが胸や陰部もあらわにして踊った。すると神々はみな高天原が揺れる

ほどにぎやかに笑った。

 

・・・アメノウズメは「あなたより貴い神が現れたので、皆喜んでいるのです」と答え、

アメノコヤネとフトダマはアマテラスの前に鏡を差し出した。・・・・

 

・・・ギリシア神話の農業の女神デメテルを、パウボという女性が、自分の陰部を露出

して笑わせ、農業の女神としての職分を果たすようにしたという話との類似がみられる。

このように天の岩屋の話は日本神話の系統を論じる上できわめて重要な示唆を与えて

くれている。

 

==>> この話は、前回その4で見た中国のプーラン族の神話とかなり似ていました。

     https://sasetamotsubaguio.blogspot.com/2022/09/blog-post_18.html

     「p171

太陽と月が岩屋の中に隠れていると、外から鳥や獣たちのさわぎたてる声が聞

こえてきた。雄鶏が太陽と月を呼び出そうとしてやさしく歌いかけた。岩屋に

隠れた太陽に対して、雄鶏が鳴き、さらに力持ちが岩戸を開けて導き出すという、

日本神話に類似のモチーフも存在する点で、このプーラン族の話は注目に値

する。」

 

 

p194

 

オホゲツヒメ神話/ヲロチ退治

 

高天原ではアマテラスが岩屋に隠れるほどの事件を引き起こしたスサノヲだが、出雲では

一転して英雄的な活躍を見せることになる。

 

高天原を追放されたスサノヲは、まず食物の女神であるオホゲツヒメのもとを訪れた。

 

オホゲツヒメは鼻や口、尻からさまざまな食物を出し、料理をしてもてなしたが、その

様子を見たスサノヲは「なんと汚らわしいことしてもてなすのか」と怒り、オホゲツヒメ

を殺害してしまった。

 

p195

 

ハイヌウェレというのは、インドネシアのセラム島の神話に登場する娘の名である

の娘は宝物を体内から無尽蔵に出し、人びとに与えていたが、そのことを気味悪がられた

ために殺害され、その死体の断片から芋が発生したという。

 

日本では、神話以外にも、縄文中期のものといわれる、ばらばらに破壊されて埋められた

女神をかたどった土偶や、山姥や瓜子姫、花咲爺などの昔話にも、その要素がみられること

が注目されている。

 

==>> インドネシアの場合は、一応宝物を取り出しているわけだから、そんなに

     気味悪がらなくてもいいように思うんですけどねえ。

     それに比べると、日本神話の場合はかなりグロテスクですよね。

     しかし、それで殺すことでもないとは思うんですが、日本神話はかなり

     残虐な話も多いように思います。

     

 

p195

 

さらにヲロチの体内から剣が生まれたという点や、肥の川が血で赤く染まったというのが

砂鉄を思わせるという点などから、鉄文化との関わりも指摘されている。

 

・・・これらの話のように人身御供にされた女性を怪物から救い、結婚する英雄の話は、

世界各地に見られ、「ベルセウス・アンドロメダ型」の神話と総称される。

 

==>> 鉄文化ということになると、どうしても渡来系の技術者の話に繋がるようです

     し、日本海側での新羅などとの交易ルートの話にもつながるようですね。

     そして、それが邪馬台国から大和朝廷への時代変化にも影響を与えたのでは

     ないかという話にもなっているようです。

     そのあたりは、今後本を読んでいきたいと思います。

 

     「ベルセウス・アンドロメダ型」神話については、こちらのサイトでどうぞ:

     https://pocket.shonenmagazine.com/article/entry/kyoryu_20190902

     「英雄ペルセウスは、怪物と化したメデューサを倒し、その首を持って、ペガサ

スに乗り、母親のもとに帰る途中で、海岸に鎖でつながれている美女を発見しま

す。この美女の名がアンドロメダで、彼女は海の怪物ケートスの生贄にされると

ころでした。」

 

 

p200

 

アメワカヒコ神話

 

オホクニヌシが葦原中国を作り上げていくその一方で、高天原の支配者アマテラスは、

その国をスサノヲとの誓約で誕生した自分の息子オシホミミに支配させようと考えていた。

ここに国の支配権をめぐって、高天原の神、つまり天つ神と葦原中国の国つ神たちとの

間に、長い年月にわたる激しい争いがはじまることとなる。

 

アメワカヒコに弓矢を授け、葦原中国へと下らせた

 

p201

 

タカミムスヒは、その矢を神々に見せると、・・・・「もしわれわれにそむく気持ちがあって

射た矢であるならば、この矢よ、アメワカヒコに当たれ」

矢は眠っていたアメワカヒコの胸を貫き、この神は死んでしまった

 

アメワカヒコ殺害の神話は、天に向かって矢を放った者が、天の神によって投げ返された

その矢で殺されるという点で、旧約聖書にも登場するニムロッド王を主役とするメソポタ

ミアの民話との類似が指摘されている。

 

==>> さて、ここで「タカミムスヒ」という神が登場しました。

     これは高天原に二番目に登場した神様ですね。 p190に出てきた神様です。

     ほとんど役割がなさそうな神が、ここでいきなり登場しました。

     「本来は高木が神格化されたものを指した」という意味みたいですから、

     本来は高い木で地上と天界をむすぶ梯子段みたいな感じなんじゃないかと

     思ったんですけど・・・つまり・・ご神木みたいな。違いますかね。

 

     しかし、このような日本の話も、メソポタミアに似たようなのがあるって、

     どんだけ~~って感じですね。

 

 

p202

 

国譲り神話

 

国譲りの交渉の前半部では、・・・二人の死者がアマテラスを裏切り、オホクニヌシに

寝返ってしまった。 ・・・しかし次に天つ神たちは、これまでとは違った強力な

「武力」を持つ神を派遣し、形勢を逆転させようとする。

 

p203

 

タケミカヅチは信濃の国の諏訪湖まで追いかけ、そこで殺そうとした。

そのときタケミナカタが「私をどうか殺さないでください。 この地を出て他へ行く

ことは決してありませんから。 ・・・この国は天つ神に差し上げましょう」

誓ったため、殺すことはしなかった。 以後、タケミナカタは諏訪の地に鎮座すること

になった。

 

==>> 長野の諏訪大社の公式ホームページをみますと、ご祭神のところに

     建御名方神(タケミナカタノカミ)の名前があります。

     父神は大国主神であることも書かれています。

     http://www.suwataisha.or.jp/suwataisya.html

 

     ここで、古事記と日本書紀にはどう扱われているかをチェックしたところ、

     Wikipediaには以下のような記述がありました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B1%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%82%AB%E3%82%BF

     「タケミナカタは『古事記』では葦原中国平定(国譲り)の場面で記述されて

いる。・・・タケミナカタは千引の石(千人もの大勢の力を必要とするような

巨大な岩)を手先で差し上げながら現れ、タケミカヅチに力競べを申し出た。

・・・タケミナカタは逃げ出したが、タケミカヅチがこれを追い、ついに科野国

の州羽海(すわのうみ)まで追いつめてタケミナカタを殺そうとした。」

     「一方『日本書紀』ではタケミナカタが登場せず、大己貴神(大国主)は事代主

神の意向を聞いた後に国譲りを承諾する。」

 

要するに、古事記では一定の抵抗をして諏訪大社に逃げ込んだとされ、

日本書紀ではすんなりと明け渡したという形のようです。

 

 

p203

 

国譲り神話については、その基本的な筋が、インド・ヨーロッパ語族に共通の神話の筋

と一致しているという点が注目されている。

 

国譲り神話をみてみると、一方の天つ神の支配者アマテラスは、政治や祭祀を司る

いわれており、他方の国つ神の王オホクニヌシは生産者の性格を持つという。そして国譲り

の前半部では、天つ神の死者が次々とオホクニヌシに懐柔されていたが、後半、ついに

天からタケミカヅチという強力な剣の神が派遣されると、一気に状況は逆転し、天つ神は

国つ神の征服に成功している。

このことから国譲り神話にはインド・ヨーロッパ語族の神話の影響が色濃くみられると

いう指摘がある。

 

==>> いやまあ、なんと、国譲りがこんなにもインターナショナルな神話とは

     恐れ入りました。

     しかし、実際にこのような政権移譲が世界のあちこちであったということに

     なるんでしょうかねえ。

     一般的に言って、生産に熱心で興味をもつ一族は、あまり政治には関心が

     ないって話なんですかねえ。

     生産者といっても、武器が売れりゃいいやってことなのかなあ。

 

     ところで、インド・ヨーロッパ語族っていっても、めちゃくちゃ広いので、

     こちらでちらっと系統図なるものをご覧ください。

     http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2010-07-26-1.html

 

 

p204

 

天孫降臨

 

このホノニニギは、アマテラスからみると孫、つまり天孫であるため、この場面を

天孫降臨という。 

 

サルタヒコの先導で天孫ホノニニギは、葦原中国へ下ることになった。 その際に

付き添った天つ神は、天の岩屋戸神話で活躍したアメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメ、

イシコリドメ、タマノヤである。 これらの神々は、その後朝廷に仕える主な氏族の

祖となった。 加えて国譲り神話でも大きな役割を果たしたオモヒカネは、八尺の勾玉、

鏡、草薙の剣という三種の神器をあずかり、・・・天下った

 

==>> ホノニニギの名前の意味はなんでしょう。こちらでチェック。

https://kotobank.jp/word/%E3%83%9B%E3%83%8E%E3%83%8B%E3%83%8B%E3%82%AE%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%B3%E3%83%88-1416603

     「【瓊瓊杵尊】(ニニギノミコト)より

《古事記》では邇邇芸命と記す。種々の異なった名称をもつが基本はホノニニ

ギノミコト。〈ホ〉は稲穂,ニニギはニギヤカ,ニギワウの〈ニギ〉を重ねた語

で,稲穂が豊かに実ることを予祝してつけた名称。」

 

ところで、非常に気になるのが、「その後朝廷に仕える主な氏族」です。

いろいろ検索したところ、下のような関係が分かりました。

アメノコヤネ = 藤原氏(中臣氏の祖神)、

フトダマ = 忌部氏/斎部氏(いんべうじ)、

アメノウズメ = 忌部氏(斎部氏)、猿女君、

イシコリドメ = 作鏡造、春日部村主、戝田直、

タマノヤ = 玉造部(たまつくりべ)

 

     天孫降臨の神の名前が「稲穂が豊かに実ることを予祝してつけた名称」

     と言うことは、やっぱり稲の栽培を日本列島にもたらした渡来人で

     あることをほのめかしているんでしょうか。

 

 

p205

 

ホノニニギは、イハナガヒメとコノハナノサクヤビメの二人を差し出されたが、

イハナガヒメの方を返したために死が定められたという。 この話は、天の神に石と

バナナを差し出された人間が、バナナだけを受け取り、そのことでバナナと同じように

はかない命になったというインドネシアのセレベス島のアルフール族の神話と類似して

いる。 このことからホノニニギとイハナガヒメ、コノハナノサクヤビメの話は、

「バナナ型」の死の起源神話に属するといわれている。

 

==>> 神話というのはいろんな角度からいろんな系統に分類されるようですが、

     日本神話は全体としてはどこの系統に属するんでしょうかねえ。

 

     ・・ということで、いろいろ検索したところ、こんなサイトが引っかかって

     きました。 学術的にどうかは一切関知しませんが・・・

     https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=242500

     「日本の神話に影響を与えた、アジア諸民族の神話について記載しているサイト

がありましたので、転載して紹介します。

これによると、日本の神話の元になっているのは、パレオアジア文化(縄文人)

の【ワタリガラス神話】【弟=月が姉=太陽を犯す】と、オーストロネシア文化

(南方モンゴロイド)の【殺される作物女神】【失くした釣り針】【蛇身出産】、

ツングース+モンゴル文化(北方モンゴロイド)の【天から霊峰への王祖降臨】

【三種の神器信仰】【冬至神話】、とされています。」

 

・・・いずれにしても、どこの神話がどこの神話に影響を与えたかとか、

どっちが元祖かなんてことは、すべてが文献として残っているわけでもない

ので、所詮判断は無理なんでしょうが、ごく素人的に考えれば、

人類が生まれて流れていった順番に古いところから新しい開拓地へと広がって

いったと考えるのが順当なんだろうと思います。

もちろん、中には、新天地から故郷にフィードバックもあったでしょうが。

 

 

p207

 

海幸彦と山幸彦 ―― トヨタマビメの出産

 

ホヲリ(山幸彦)がワタツミのいうとおりに釣り針を返すと、その後本当にホデリ(海幸彦)

は貧しくなっていった。 その心は次第に荒れ、ホヲリを攻めるようになる。 ホヲリは

潮が満ちる玉と引く玉を使い、兄を溺れさせたり、また許したりを繰り返した。

とうとうホデリは降参し、今後はホヲリに仕え、護衛すると誓った。 後にホデリは

隼人の祖となった。

 

==>> 隼人で思い出すのは当然のことながら薩摩隼人なんですが、我が母が

     薩摩の出身だったので、少し話を聞いた記憶があります。

     それは、薩摩隼人はよいイメージで、熊襲ではないということだったと

     思います。おそらく、戦前の鹿児島の人たちにとっては、そのようなイメージが

     あったのではないかと思います。

     「隼人」

     https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%BC%E4%BA%BA

     「風俗習慣を異にして、しばしば大和の政権に反抗した。やがてヤマト王権の

支配下に組み込まれ、律令制に基づく官職のひとつとなった。兵部省の被官、

隼人司に属した。百官名のひとつとなり、東百官には、隼人助(はやとのすけ)

がある。現在は、日本人男性の人名としても用いられる。

古く熊襲(くまそ)と呼ばれた人々と同じとする説、熊襲の後裔を隼人とする説

(系譜的というよりその独特の文化を継承した部族)、「熊」と「襲」を、隼人の

「阿多」や「大隅」のように九州南部の地名であり、大和政権に従わないいくつ

かの部族に対する総称と解する説などがある。」

 

 

p207

 

産屋の中を覗いてしまった。するとそこでは一匹の鰐が、のた打ちまわっていた

驚いたホヲリは、思わず逃げてしまう

一方本来の姿を見られたと知ったトヨタマビメは、そのことを恥ずかしく思い、産んだ

ばかりの子を置いて、海へ戻ると、海を陸との通り道を塞いでしまった。

 

子供は鵜の羽の屋根が葺き終わらないうちに産まれた、という意味でウガヤフキアヘズ

名づけられた。 この子は成長し、トヨタマビメの妹つまり叔母にあたるタマヨリビメ

結婚する。 そしてこのヒメとの間に初代の神武天皇が産まれることになる。

 

==>> つまり山幸彦(ホヲリ)と鰐の嫁さんの子どもがウガヤフキアヘズ(鸕鶿草葺

不合)で、そのハーフの男子が鰐の叔母さんと結婚して生まれたのが神武天皇

     ってことになるわけですね。 四分の三が鰐ってことですか?

     トヨタマビメの妹なる人が鰐100%だったらってことですが・・・

 

     Wikipediaには

「先代 彦火火出見尊(山幸彦)、次代 彦火火出見尊(神武天皇)」

     と書いてありますから、間違いないですね。

 

     それにしても、「全名     天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命」という名づけ方

     は非常に面白いですね。 鵜の羽の屋根を葺き合えずに生まれてしまった

なんて。

     現代だったらさしずめ、チチビョウインニマニアワズぐらいでしょうか。

 

     しかし、天皇家の初代が四分の三は鰐って・・・いいんでしょうか。

 

p207

 

ホヲリの話のように、なくした釣り針を探しに主人公が海中へ出かけて釣り針を

見つけ、さらに女性と結婚して戻ってくるという話は、太平洋のまわりを中心に

広く見られ、「失われた釣り針型」と呼ばれる。

 

このモチーフを日本に伝えたのは、海洋民族でホデリの子孫とされる隼人族だと

いわれている。

 

トヨタマビメとホヲリの結婚は、妻が鰐であるため、異類婚と呼ばれる。

・・・・一方で英雄的な人物の非凡な能力を説明するため、もしくは神聖さを

強調するために、その親を異類としる話が生まれたとも解釈されている。

 

==>> ここで、初代天皇である神武天皇に辿り着いたので、どんな人物と

     して描かれているのかを、確認しておきましょう。

 

https://kotobank.jp/word/%E7%A5%9E%E6%AD%A6%E5%A4%A9%E7%9A%87-82633

     「記紀に第1代と伝える天皇。神武という名は8世紀後半に贈られた中国風の

諡号(しごう)である。『日本書紀』によれば、国風諡号は神日本磐余彦尊

(かんやまといわれひこのみこと)。」

 

45歳のとき、船軍を率いて日向を出発し、瀬戸内海を東へ進み、難波(なにわ)

に上陸して大和(やまと)に向かおうとしたが、土地の豪族長髄彦(ながすねひこ)

の軍に妨げられ(東征)、方向を変え、紀伊半島を迂回(うかい)して熊野から

大和に入り、土豪たちを征服し、ついに長髄彦を倒して、日向出発以来、6年目

(『古事記』では16年以上かかる)で大和平定に成功

「在位76年、127歳(『記』では137)で没して畝傍(うねび)山東北陵に

葬られたという。」

 

「即位の辛酉の年(紀元前660年)は中国の讖緯(しんい)思想によってつくら

れ、事績には神話的な色彩が濃く、史実を伝えるものはほとんどない

いわれる。」

 

・・・・・鰐から生まれたり、137歳まで生きたとか言われちゃうと

信じろと言われても・・・・・

 

それに、ここで初めて知ったんですが、神武というのが中国風の名前で

あったり、即位の年についても中国の予言思想に頼ったり。

讖緯思想(しんいしそう)

http://www.historist.jp/word_w_shi/entry/043715/

「中国古代の一種の予言思想。その書物を経書(けいしょ)に対して緯書(いしょ)

と呼ぶ。戦国時代の天人感応の思想を背景とし,陰陽五行説の影響を受けて秦代

頃からおこり,漢代,特に後漢で流行した。」

 

・・・まあ、それぐらい日本と中国の間には、大きな文化レベルの差が

あったのだと考えるしかないですね。文字も借り物だし・・・

ちなみに、日本の元号にしても、やっと「令和」が日本の万葉集から

とられたという話で、従来はすべて中国由来の元号だったそうですから。

 

さて、これで「世界の神話」を読み終わりました。

 

今後は、日本の神話や神社について、そして出雲と大和の関係について、

いくつか読んでいこうと思います。

 

 

===== 完 =====

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

====================================

コメント

このブログの人気の投稿

ホテルでクレーマーになってしまう私 草津温泉と伊香保温泉・湯治旅

埼玉県・芝川サイクリングコース、荒川・芝川水門から大宮公園・氷川神社までの橋をすべて?撮影してみた

2023年を 自作の狂歌で 振り返ってみる ー 妻の病気とフィリピン・バギオからの帰国