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7月, 2021の投稿を表示しています

妄想: 不思議な下町の「どどいつ割烹、お銭」

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  妄想: 不思議な下町の「どどいつ割烹、お銭」     何故だかまったく分からないのだが、私と相棒はある下町の安いアパートに暮らしていた。 そのアパートの前には銭湯があった。 かなり古い造りで、狭く、みすぼらしく見えた。   相棒がその銭湯から出てくるのを待って、貧弱な街の通りをそぞろ歩きしていた。 通りの左側に、以前から気になっていたひとつの割烹がある。   その前を通るたびに、 店の中から都々逸を謡う女将の声が聞こえていた 。 その女将はかなりの老女であったが、その声に惹かれるように私は暖簾をくぐった。 相棒もその後に続くように吸い込まれた。     その店は 「どどいつ割烹、お銭」 であったと思う。 店の中は雑然としていて、まるで作業場のような雰囲気であった。 「これが割烹なのか?」 と私は狐につままれたような、夢の中にいるような気がしていた。   女将は、我々を奥に案内し、 丸太のようなものを二つ差し出して、そこに座れと言う 。 我々がほとんど並ぶようにその丸太に腰を下ろすと、女将は、その前に細い木切れを こんもりと積んで、そこに火を入れた。   「こんなところで焚火をして、なにを作るというのだろう」 こんな割烹料理店など見たことも、聞いたこともない。 メニューすらそこには出てこない。   相棒と二人で、丸太に座ってその煙を眺めていると、後ろから男の声が 「只今、見積もりをしていますので、しばらくお待ちください」 と言った。   「見積もり? なんだそれは?」   ちょっと離れた座敷に座った女将が都々逸を謡っている。   「赤い顔してお酒を飲んで 今朝の勘定で青くなる」   私は、財布の中が急に心配になってきた。 ちょっとブラブラしたついでに入った店である。 財布の中には大枚がせいぜい1~2枚 しかないはずだった。 相棒は銭湯からそのままやってきたんだから、持っている筈も ない。 クレジットカードは使えるんだろうか。   「捨てる神ありゃ 助ける神が なまじあるゆえ 気がもめる」 ・・・女将の都々逸が聞こえてくる。   どうにかなるさと観念している内に、焚火が熱くなってきて、首筋に汗がにじんでき

散歩のついでに、回転寿司食べ歩き  conveyor belt sushi restaurants ― スシロー、くら寿司、海鮮三崎港、はま寿司、がってん寿司、魚べい

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  散歩のついでに、回転寿司食べ歩き ― 6社の比較と感想     2020年の9月頃から、コロナ禍での運動不足を解消するつもり、と言うよりも、 散歩道で写真を撮って歩くことをやり始めたんですが、たまたまその道すがらに 回転寿司屋があると、ついつい入ってしまうようになりました。   昨年9月以降にたまたま入った回転寿司屋は、 9月 スシロー、 2021年3月 くら寿司、 5月 スシロー、 6月 三崎港寿司、 7月 はま寿司、 がってん寿司、 そして 元気寿司系の魚べい の6社となりました。   私は寿司の良し悪しが分るほどの食通ではありませんから、シャリやネタの品質に ついては、プロの人たちのブログにお任せして、素人目線で、それも古希の高齢者目線で 独断と偏見の感想を書いてみます。   なにせ、記憶力も曖昧な昨今ですし、それぞれの回転寿司屋の食レポを書き留めて いるわけでもないので、その時に撮った写真をベースにして、記憶を辿っていきます。     まずは、なんと言っても、比較と言えばお値段でしょうから、できるだけ同じものを 食べたという前提で、インターネットで各社が発表している値段で集計してみました。 (これは2021年7月22日現在の税込み価格です。) ただし、同じ種類のネタをすべてのお店が提供しているわけでもないですし、同じ種類で あってもそれぞれのお店の品質レベルや商品の組み合わせもありますので、 私が好きなネタをベースにしての大雑把な比較ですので、あしからず。     では、下の値段比較表をご覧ください:   かなりの差があることが一目瞭然です。   海鮮三崎港寿司とがってん寿司は、他の4社と比べるとほぼ2倍くらいになっています。 基本の一皿一貫が他の店の2倍以上ですから、これは当たり前ですね。   私が食べた中で、この2社が「旨いなあ」と感じたトップ2社だったんですが、まあ これだけ値段の差があれば当然のことですね。   一番高い「がってん寿司」は、池袋のお店で、他はすべて埼玉県内のお店ですから、 東京都内という地理的なものも値段に反映しているのかもしれません。   では、一社ずつ写真と少しの動画も

ジェームズ・ボーーエン著「ボブという名の ストリート・キャット」と 私の猫との人生

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  ジェームズ・ボーーエン著「ボブという名の ストリート・キャット」と私の猫との人生   A street cat named Bob   written by James Bowen ジェームズ・ボーーエン著「ボブという名の ストリート・キャット」 という本がある ことを FACEBOOK の広告でたまたま知ったんです。   その表紙の猫の写真が、我が家で飼っていた猫に似ていたので、ついうっかり本を買って しまいました。   なので、本の内容にはさほど期待はしていませんでした。 ですが、読んでみると著者がストリート・ミュージシャンで、 ヘロイン中毒のホームレス で、 公的な支援を受け、更生プログラムを受け、ほとんど絶望的な状態にあった中、不思議な ことに、 この野良猫と出会ったことで救われていく という話でした。   いつもなら、難しい本にたくさん付箋をつけて、気になる部分を引用し、勝手なコメントを だらだらと書くのですが、この本から引用したいと思った箇所は、以下の4カ所でした。   p91   ぷいっといなくなって、誰かほかの人間と暮らしはじめる。 ぼくにはボブがぴたりと 寄り添っている。  飼い猫に見限られていないのだから、こいつはまともかもしれないと 世間の人は思ってくれるだろう 。 ぼくは人間以下の存在からステップアップしたこと になる。ひとりの人間として認めてもらえる。 かつてはいないも同然の存在だったぼくが、 いまは人間社会に溶け込みつつある。   p102   猫にとっては、狩りをするときに自分のにおいを発散させては具合が悪い。 背後から こっそり忍び寄ったり、待ち伏せしたりして狩りを行なうので、できるだけ自分のにおいを 消しておく必要がある。  猫の唾液には天然の消臭成分が含まれている ので、身体をなめて それをたっぷりこすりつける。 全身をなめてにおいを消す猫のほうが生き残る確率も 高く、多くの子孫を残すことが動物学者によって証明されている。 また、大型のヘビや爬虫類、そのほかの肉食動物といった捕食者から身を守ることにも 役だっている。     p218   奇妙な幻覚の世界を漂うぼくにとって、ボ

リチャード・ドーキンス 特別講義「進化とは何か」を読む ― 3 腸内細菌が人間をコントロールしているのか?

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  リチャード・ドーキンス 特別講義「進化とは何か」を読む ― 3 腸内細菌が人間をコントロールしているのか?     Growing Up in the Universe   by   Richard Dawkins ドーキンスさんによる特別講義「進化とは何か」を読んでいます。     これは、1991年にイギリス王立研究所で行われた「クリスマス・レクチャー」に ドーキンス氏が講師として呼ばれたときの講演内容だそうです。     == 以下は、 インタビューの章 に入ります ==   p213   「恐怖心というものが迷信や残虐を生む。 恐怖心を克服することが叡智につながる」   「人間は信じやすい動物だから、何かを信じたくなる。 信ずるに足る何かを見出せない 場合は、信ずるに足らないことでも満足してしまう」 (バートランド・ラッセル)   ==>> このラッセルの言葉は、確かにそうであろうと思います。      前者は米国での先の大統領選の際、そして今も続いていると言われる陰謀論や      コロナ禍でのさまざまな偽情報に現れているのではないかと思います。        私にとってより真実だと思えるのは後者の言葉です。      私も何故か何かを信じたくなってしまうからです。      人間には何故そのような志向性があるのかが、不思議でなりません。      その何故を知りたくて、今までに何冊も本を読んできました。      宗教や哲学の本から、脳科学や量子論の本までを読んできたのはその為です。      今まで読んできた中で 私の感覚に一番ぴたっときた本 はこの本でした。         村本治著「神の神経学―脳に宗教の起源を求めて」       http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2021/04/post-31d1bf.html      「私の現在の読書のテーマは、「人はなぜ何かを信じるのか?」です。 結論から言えば、この本は私が求めてきた本だということになります。」   ・・・この村本治さんの専門は、臨床神経内科学、神経心理学、医療倫理、 宗教と医療倫理の関係、