ブライアン・グリーン著「時間の終わりまで」を読む ―1― まるで幕の内弁当、エントロピーと生命の綱引き、 絶対的なものは何ひとつない

ブライアン・グリーン著「時間の終わりまで」を読む ―1― まるで幕の内弁当、エントロピーと生命の綱引き、 絶対的なものは何ひとつない

 

 


知人からの推奨で読むことにしたんですが、古本でも高いので、図書館から借りてきま

した。 

 

英語でのタイトルが Until the End of Time となっていました。

それで思い出したのは このふる~~い曲です。

Perry Como Live - Till the End of Time - 1956

https://www.youtube.com/watch?v=KFXA_-2cIYU&t=28s

 

私が6歳の時の曲なんですねえ。 懐かしいわけです。

ですが、 ここでちょっとひっかかったことがあります。

 

UntilTillはどう違うのか・・・ってことです。

この本と曲の意味内容になにか関わっているのか、と気になったんです。

ですが、結局、Untilは正式な文などに使われ、Tillはくだけた会話などに使われるという

ことで、意味的な違いはないということでした。

ああ、すっきりした・・・

 

で、まず、この本のメニュー(目次)を見て驚きました。 まるで「幕の内弁当」みたい

だったからです。 つまり、私が興味を持って、いままでいろんな分野のいろんな本を

読んできたんですが、そういうテーマが美味しそうにぎっしり詰まっているでは

ないですか。

 


そのメニューからキーワードだけを拾いあげると、

 

エントロピー、思考、心、時間、エネルギー、宇宙、ビッグバン、宇宙創造、物質の起源、

重力、核融合、情報、生命力、量子物理学、生物学、進化、生命の起源、粒子、意識、

統一理論、自由意志、言語、神話、脳、宗教、本能、芸術、真理、ブラックホール、

マルチバース、存在、秩序、意味、などなど

 

まあ、こんだけ広い分野のことが書ける人ってどんな人?って思いますよね。

 


理論物理学者だそうです。

それにしても、守備範囲が広すぎませんか。まさに天才と言うべきなんでしょうね。

 

では、そんなに素晴らしい本を、私はどこまで理解できるのか、かなりビビッておりますが、

いつものようにグダグダと読んでいきましょう。

 

==============

 

p019

 

この探求の旅を導いてくれるのは、さまざまな科学分野で得られた洞察だ。 読者の

みなさんには、わずかばかりの背景知識があれば大丈夫。 旅に必要なことはすべて

アナロジーとメタファーを使って説明するし、専門用語は使わない。

とくに難しい概念については、みなさんが道に迷わず旅を続けられるよう、ざっくりと

要点を説明しよう。

 

==>> おお、まさに私のようなど素人向けに分かり易く書いているんだそうです。

     本当に助かります。でも、私が理解できるほどに優しいかどうかは読んで

     みないと分かりませんが。

     この本は本文だけで524ページとかなり分厚いのですが、今の時点で

     半分ほどまで読んだ感想を一言でいうならば、今まで他の本で何度も出てきて

     インターネットでもいろいろ調べて理解できなかった「エントロピー」という

     言葉の意味がやっと分かった感じです。

     それだけでも、この本を読んだ甲斐があったように思いますし、著者が如何に

     素人にも分かるように書いてくれたかが納得できました。

 

 

「第1章 永遠の魅惑」

 

p024

 

われわれが宇宙だと思っているものが永遠には続かないということは、すでに解析から

明らかになっている。 惑星から恒星まで、ブラックホールから渦巻き星雲まで、永遠に

存在し続けるものはひとつそしてない。

 

・・・生命そのものも永遠には続かない

 

p027

 

いつの日か、粒子的な構成要素の統一理論を使って、ロダンの「カレーの市民」が示す

圧倒的なヴィジョンと、その作品を見た人たちに引き起こされる無数の反応を説明できる

ようになるのかもしれない。

 

==>> 何ごとにも始めがあれば終わりはあるのでしょうから、宇宙が終わる、

     生命が終わると言われても、そんなに驚くにはあたりませんが、

     「統一理論を使って・・・・説明できる」ようになる時代が来ることを

     考えるとワクワクします。

     もっとも、そんな時代まで私は生きていないでしょうが。

 

     ロダンの「カレーの市民」は、上野の国立西洋美術館の前庭にあるものですね。

     https://www.nmwa.go.jp/jp/collection/1959-0008.html

     

     上記で、著者の言う「圧倒的なヴィジョン」というのがどういう意味なのかは

     インターネットで検索しても分かりません。

     いずれにせよ、統一理論ができれば、人の思考や感情も説明できるように

     なるだろうということかと思います。

 

 

p028

 

実際、エントロピーと進化というふたつの力は、生命の出現へと至る険しい旅の道連れ

としては、お似合いの相棒同士なのかもしれない。

 

でこぼこコンビのように見えるかもしれないが(一般には、エントロピーは物理系を

カオスに近づけ、進化や生命とは真逆だとおもわれている)、エントロピーについて最近

行なわれた数学的解析によると、どうやら生命は、あるいは少なくとも生命に似た特徴

は、太陽のような寿命の長いエネルギー源から熱と光がふんだんに供給される地球の

ような惑星上で、生命の素材となる分子たちが限られた資源を奪い合って競争している

状況では、出現してもなんら不思議はなさそうだ

 

==>> さて、ここでもエントロピーという言葉が何度も出てきているのですが、

     おいおい詳しい解説が出て来ます。

     もちろん、私にはこの時点では何のことやらさっぱり分かりませんが。

 

 

p036

 

そして最終的には、宇宙は、わずかばかりの粒子が霧のように漂うだけの、冷え切った

静寂な世界に成り果てるだろう。 

そんな変貌を遂げる宇宙の中で、意識的な思考はどうなってしまうのだろう?

この問いを発し、それに答えるための言葉を与えてくれるのが、エントロピーだ。

 

p037

 

無益な環境エントロピーを増大させてしまうせいで自滅するという、あまりにも現実的

な可能性に出会うだろう。 遠い未来には、考える者はなんであれ、おのれの思考によって

生じる熱のせいで焦げ付いてしまうのかもしれない。

つまり、思考そのものが、物理的に不可能になりそうなのだ。

 

==>> 既によんだ本の中に、下のようなエントロピーに関する記述が

     ありました。

     乾敏郎・阪口豊著「脳の大統一理論、自由エネルギーとはなにか」

     https://sasetamotsubaguio.blogspot.com/2022/08/blog-post_14.html

     「p112

このような赤ちゃんの行動からもわかるように、人間行動の基本原理は、未来に

サプライズが起きないように現在の環境を学習するということである。

エントロピーは無秩序の尺度である。 熱力学の第二法則によれば、周りから閉

ざされたシステム(閉鎖系)においては、エントロピーは時間とともに増大し、

秩序が失われていく。 

一方、生物システムは、物質やエネルギーを絶えず環境と交換する非平衡開放系

であり、無秩序な状態へ移行しようとする自然の傾向に対して能動的に抵抗し

秩序を形成することで、エントロピーが低い状態を維持している

特に重要なのは、環境との関係を変更してホメオスタシスを維持する能力、すな

わち、自分の期待した状態(事前分布)を維持するために自ら行動する能力で

ある。」

 

・・・つまり、エントロピーと赤ちゃんは正反対の方へ、いわば綱引き

しているってことですね。

 

そして、「おのれの思考によって生じる熱のせいで焦げ付いてしまうのかもしれ

ない」というのは、まるでスマホのように、使いすぎると加熱してしまって

酷暑日に膨れて壊れてしまうのかもしれません。

 

 

p040

 

どうやら生命と思考は、宇宙の年表上に表れた小さなオアシスに棲息しているらしい。

宇宙は、ありとあらゆる謎めいた物理的プロセスを許容するエレガントな数学的法則に

支配されているにもかかわらず、そこに多くの生命と頭脳が宿るのは、ほんのひととき

らしいのだ。

 

==>> ここで地球の歴史と生命の儚さを確認しておきたい方は、こちらの

     動画は如何でしょうか。

     地球そして生命の誕生と進化 【完成版】

     https://www.youtube.com/watch?v=GPdLEKzHd1g&t=18s

 

     もっと分かり易いのがこちらにありました。

     宇宙の歴史を1年であらわすと

     https://omocoro.jp/kiji/886/

     「宇宙が誕生したのは今から137億年前だと言われています。といっても桁が

違いすぎて全く実感が湧かないので、これを一年になおしてみましょう。」

     「12312130分 ヒト誕生 (400万年前)

やっとヒト。遅すぎる。そしてヒトだといってもアウストラロピテクスとかで

あり、半裸でマンモスを追いかけるタイプの人類なのであまり共感はできま

せん。」

 

     

p041

 

本書の目的は、その眺望を鮮明に見てもらうことだ。 宇宙の始まりに関する最先端

の知識から出発して、科学が連れて行ってくれる限りにおいて、もっとも終末に近い

時点まで時間を旅していこう。 初期宇宙のカオスから、生命と心がいかに出現

したかも見ていこう。

 

==>> ここでこの本のタイトルである「時間の終わりまで」の意味が改めて

     述べられています。

     その最先端の知識とは、この本が出版されたのが2021年となっています

     ので、2022年現在、最先端で最新はまちがいないと思います。

 

 

p042

 

おそらく生命は儚い存在だ。 生命の出現とともに勃興した知識もまた、生命の消滅

とともに失われるだろう。 永遠に存在するものは何もない。絶対的なものは何ひとつないのだ。

 

==>> この文面だけを読んでいると、まるで宗教の世界ですね。

     「絶対的なものは何ひとつない」という意味で頭に浮かぶのは、私の場合は

     「空」という仏教の言葉です。

 

 

さて、これで「第1章 永遠の魅惑」を読み終わりました。

次回は「第2章 時間を語る言葉」から読んでいきます。

 

 

===== 次回その2 に続きます =====

 ブライアン・グリーン著「時間の終わりまで」を読む ―2― 宇宙のすべては朽ちて行く、 熱力学第二法則とエントロピー、 赤ちゃんの周りには無秩序が (sasetamotsubaguio.blogspot.com)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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