乾敏郎・阪口豊著「脳の大統一理論、自由エネルギーとはなにか」を読む ―2- 人間は環境の不確実性を最小化するような行動をとる、自分でやった感はどう作られるか、感情は内臓に直結

乾敏郎・阪口豊著「脳の大統一理論、自由エネルギーとはなにか」を読む ―2- 人間は環境の不確実性を最小化するような行動をとる、自分でやった感はどう作られるか、感情は内臓に直結

 



乾敏郎・阪口豊著

「脳の大統一理論、自由エネルギーとはなにか、すべての脳機能は推論である」

を読んでいます。

 

「4 意思決定」に入ります。

 

 

p055

 

モデルの不確実性を低下させることで、与えられた成果に基づいて、自分の状態や、

その状態である行為を選択・実行したときの次の状態を、より確実に推定できるように

なるからである。 

 

言い換えれば、フリストンは、人間は将来のサプライズをできる限り小さくなるような

行動をとると考えているのである。

 

 

p056

 

フリストンらが前頭前野の生理学的な実験データをもとに提案した仮説は、前頭葉の中に

「仮想制御ユニット」と呼ばれるニューロン群があり、それがシュミレーションを行なって

可能な行為の集合の中から最適なものを一つ選んで実行する、というものである。

 

なお、フリストンらは、仮想制御ユニットから最適な行為を選択するプロセスが行為を

自ら行っているという自己主体感を生み出すと考えている。

 

==>> これを読んでいると、この脳の機能は、生命体としての人間の平衡を保つ

     エコ・システムのように感じられます。

     そして、「自己主体感を生み出す」という点では、過去によんだ小びと論に

     通じるものがあるように思えます。

 

     前野隆司著 「脳はなぜ「心」を作ったのか」 

― 小びとが分散処理するニューラルネットワーク

     https://sasetamotsubaguio.blogspot.com/2021/09/blog-post_97.html

     「p67

つまり、「私」たちが主体的に行なっていると思っている「思考」という行為は、

実は無意識下の小びとたちが行っている自律分散計算だと考えられるという

ことだ。

p69

感情というものはそもそも受動的なのだ。 怒りたいと思って怒ったり、笑いた

いと思って笑ったりすることは、ないとはいえないが、普通ではない。」

 

「p77

リベットの実験結果を信じるならば、人が「意識」下でなにか行動を「意図」

するとき、それはすべてのはじまりではない。 「私」が「意識」するよりも

少し前に、小びとたちは既に活動を開始しているのだ。 言い換えれば、「意図」

していると「意識」することを人に感じさせる脳の部分は、脳内の小びとたちの

活動結果を受けとって、自分が始めに「意識」したと錯覚していると考えるしか

ない。」

 

 

 

p057

 

成果の不確実性を最小化する行為を選択する

 

・・・このことは、特定の行為系列のもとで目標達成までに得られる将来の成果の不確実性

(エントロピー)を表わす「期待自由エネルギー」という量を考え、各時点において

行為系列の期待自由エネルギーを最小化する行為を選択することで実現できる。

 

p059

 

能動的推論の議論では、シャノンサプライズを低下させるように運動することを述べた。

これに対して、期待自由エネルギーの議論では、シャノンサプライズの期待値である成果

不確実性(エントロピー)を最小化することになる。

 

==>> ここにはある数式も書かれているのですが、私には理解不能ですので、飛ばし

     ますが、要するにその趣旨は、ある特定の行為には複数のケースが考えられる

     けれども、それをシュミレーションして、エネルギー消費が一番少ない合理的

     なものを選択するということのように理解しました。

     言い換えれば、脳の中がぐちゃぐちゃになる(エントロピーが高くなる)のを

     抑える、平衡状態を保つ方向にエコシステムが働くということかなと理解しま

     した。

 

p060

 

従来の経済モデルが実利的価値のみを考えて行動を予測してきたのに対し、自由エネルギ

―原理は、行動が実利的価値と認識的価値のバランスによって決定されることを主張している点が特徴的である。

 

p067

 

1000人に1人がかかるといわれるパーキンソン病はドーパミンの欠乏によって

ひき起こされると考えられているが、この病気に罹ると、運動を意図的に実行できなくなるだけでなく、行動計画や問題解決、注意の移動や切り替えなどの機能が低下する。

さらに無気力、不安などが見られ、目標志向行動の低下や興味の喪失なども生じるが、

これはまさにモチベーションの欠如として捉えることができる。

 

==>> ここでは、脳の機能が実利的価値のみで決まるものでもないことや、

     行動のモチベーションとドーパミンなどの関係について述べられていますが、

     これらの部分についても、自由エネルギー原理で解釈できることが解説されて

     います。

 

p069

 

近年の研究では、感情は自己の内臓の状態と密接に関係していることが明らかになって

きた。 

 

なお、「感情」と似た意味の言葉に「情動」という言葉がある。・・・本書では、「情動」は

外的刺激や記憶の想起によって生じる内臓や血管の状態変化(つまり、内臓そのものの

変化)を表わし、「感情」は情動に伴う主観的意識体験(気持ちの変化)を表わすものと

して・・・・

 

p070

 

人間では、負のフィードバック制御によって作られるホメオスタシス機能により、体内の

状態が一定に保たれていることになる。 具体的には、この負のフィードバック制御は

脳幹と血管や内臓のあいだにある神経ループによって実現されており、このループは

ホメオスタシス反射弓と呼ばれている。

 

p071

 

本来であれば、血圧や心拍数が上昇するのは実際にスピーチをする時点でよいはずだが、

スピーチをする前から血圧や心拍数が上昇するのはなぜだろうか?

これは、実際にスピーチをする段になってホメオスタシスに大きな乱れが起こらないよう

に、前もってホメオスタシスの設定値を変更する仕組みのためと考えられている。

 

==>> ここでは、いわば「腹が立つ」のが内臓と関係していることを語って

     いるようです。 そして、脳には「転ばぬ先の杖」的な事前準備活動を

     する機能があるようです。

     

     ホメオスタシスについては、こちらで確認

https://kotobank.jp/word/%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B7%E3%82%B9-134114

     「生物体または生物システムが間断なく外的および内的環境の変化を受けなが

らも、個体またはシステムとしての秩序を安定した状態に保つ働きをいう。

恒常性ともよぶ。」

 

 

p072

 

ホメオスタシスの混乱が大きくならないように、体内の状態に関する設定値を予測的に

変更する機能のことを「アロスタシス」と呼ぶ。 自由エネルギー原理もとでは、

アロスタシスの働きもまた随意運動と同じ枠組みで説明される。

 

p073

 

アロスタシスのメカニズムはやや複雑である。たとえば、強い直射日光のもとにいると

体温が上がるが、そのまま日光のもとにいると脱水症状を起こしてしまうかもしれない。

自分の体に蓄えられている水分だけでは足りなくなる予測すると、脳は脱水症状を

ひき起こす前に水分を補給するという行動をとる。

 

また、前もって低血糖になることが予想される場合には、(低血糖になってからでは

動けなくなってしまうので)食べ物を食べる行動を起こす。

 

p074

 

このような機能を実現するために、私たちの脳には、エネルギーを消費すると低血糖

になるという因果関係や、その因果関係にかかわる感覚信号間の関係を表わすもの

(生成モデル)もあると考えられている。

 

==>> アロスタシスとホメオスタシスの違いについては、こちら:

https://selfmind.ai/ja/blog/%e3%83%9b%e3%83%a1%e3%82%aa%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%82%b7%e3%82%b9%e3%81%ab%e3%82%a2%e3%83%ad%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%82%b7%e3%82%b9%e8%84%b3%e3%81%a8%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%81%ae/

     「アロスタシスとは、外部からのストレス(変化)によって体内環境が崩れない

ように、安定性を維持する反応です。一見ホメオスタシスと似ていますが、

アロスタシスはホメオスタシスを維持し、急性のストレスなどに対して適応し

ていくプロセスという位置付けになっています。

強いストレスがかかると、アドレナリンやコルチゾールなどの脳内分泌物が

多くなります。そういった分泌物から体を守り、適応しようとするのがアロスタ

シスです。」

 

このような生体の仕組みに関しても、当然のことながら、自由エネルギー原理

で説明ができるのだということのようです。

     そして、ここには、有名な「パブロフの犬の条件づけ」などについても

     自由エネルギー原理で説明ができるとしています。

 

 

p076

 

私たちは、ドキドキする、お腹が痛い、息苦しいといった知覚を覚えるが、これは

脳(具体的には、島と呼ばれる部位)が自律神経を通じて受け取る内臓状態にかかわる

情報、すなわち、内受容感覚信号によってもたらされる。

 

このような内受容感覚にかかわる知覚は、外環境を推論する視知覚と同様に、内環境

の状態に関する推論によって実現される

 

==>> 脳にとっては、身体の内であろうが外であろうが同じ扱いになるわけですね。

     では、その脳を持つ我々にとってはどうでしょうか。

     主観客観という場合は、身体の外を客観と言っているようにも思えますが、

     自分の身体を客観と見るのはどういう場合でしょうか。

 

 

p079

 

さらに、このような自律神経反応と、それをひき起こした原因に関する推論の組み合わせ

によって特定の感情が意識されると考えられている。

ある実験では、あらかじめ興奮しやすくなる薬物が投与された参加者に対し、あえて参加者

を怒らせるようなことをすると、薬物の効果について事前に説明を受けた参加者は、

説明を受けなかった参加者と比べて生理的興奮が低くなることが明らかにされている。

この実験結果は、情動変化を起こす原因の認知が感情に大きく作用することを示唆して

いる。

 

==>> なるほど、薬物という体内の情動変化を起こすものを使って、一定の感情を

     意図的にひき起こそうとするわけですね。

     しかし、その場合でも、事前にそのことを知っていれば、それを脳が

     制御する仕組みを持っているということらしい。

 

     まてよ、そうすると、一般的な病気に対して処方されるような薬の場合は、

     事前にその薬効を知らされたら効き目が低くなるってこと???

     まさかねえ・・・・

     それとは逆に、これが薬ですと言われて、医者からビタミン剤を飲まされても

     それがなんとなく効いちゃったなんて話もあるしなあ。

     いわゆる偽薬のプラセボ効果ってやつですね。

 

 

p084

 

それでは、私たちの脳はどのようにして仮説を生成するのだろうか

 

自由エネルギー原理によれば、その答えは、「人間は世界に関する不確定性の最小化を

目指して仮説を立てる」である。

 

脳は、世界で起きる現象の特性を表わすさまざまな生成モデル(仮説)を作り、その

生成モデルが正しいことを示す証拠をかき集めようとするのである。

ある哲学者はこのことを「自己証明する脳」と呼んでいる。

 

==>> これはこの原理の核心部分となる仮説のようです。

     おそらく様々な実験データからひらめいた仮説なのでしょうが、脳自体が

     意志を持って「自己証明」しようとするのか・・・・

     あるいは、既に上でみたような「小びと仮説」のようなものなのか。

     

 

p085

 

「人間は環境の不確実性を最小化するような行動をとる」というのが自由エネルギー原理

の根本的な思想である。 ここでの不確実性とは、隠れ状態や隠れ原因、自己が置かれた

文脈などに関する自分の知覚内容が真の状態と一致しているかどうか、さらに隠れ状態

と成果のあいだに存在する確率的随伴性を表わす脳内の生成モデルが真の随伴性(関係性)

と一致しているかどうかを意味する。

 

==>> つまり、脳内で推定している世界のあり方と現実の世界の状態の間の

     誤差を最小化するように脳が動いているということですね。

     

 

p090

 

自由エネルギーの最小化は、生成モデルの正確さを大きくし、複雑さを小さくすることに

よって達成できる。

 

p091

 

この仮説生成の脳内プロセスの可能性として、フリストンは睡眠中の「シナプスの刈込み」

を挙げている。 シナプスの刈り込みとは、眠っているあいだに、脳がシナプス結合の

総和を一定に保つことにより、覚醒時に強くなった結合だけを残し、冗長なシナプスを除去

する機能のことである。 

 

これは、起きているあいだ獲得した正確だが複雑なモデルから、睡眠中により単純な

(縮約された)モデルを見つける作業を行なっている、・・・・

 

==>> ああ、生成モデルというのはそうやって出来るんですね。

     実際に体験したことを元にして、眠って}_いる間にその要約版をシナプスの

     編集ということで生成モデルという形に作るってことですね。

     そして、それが今後の行動の基準になって、脳内でさまざまな制御がされる。

 

 

p100

 

統合失調症は、幻覚や妄想などの陽性症状や意欲の低下などの陰性症状が見られる

精神疾患である。 統合失調症の患者では、自分が行なった行為であるにもかかわらず、

他人にさせられたと認知する妄想、すなわち「させられ体験」が生じることが知られている。

 

この現象は、健常者では自己運動時に生じる頭頂葉での感覚減衰が統合失調症患者では

生じないことによるものと考えられる。 つまり、感覚減衰が起こると自己主体性が

生じ、感覚減衰が起こらないとさせられ体験が生じるのである。

 

==>> ここに出て来た「感覚減衰」は、すでに出てきた言葉ですが、

     「自分でくすぐったときには皮膚感覚の予測によって感覚減衰がしょうじる

     ために、自分で自分をくすぐっても、くすぐったいとは感じないという例です。

     ですから、その場合は、自己主体性があるけれども、統合失調症の場合は

     「させられ体験」になってしまうということですね。

 

 

p103

 

自閉症の症状は多様でそのすべてを自由エネルギー原理の観点から説明することは

難しいものの、一部の重要な症状はこの原理に基づいてうまく説明することができる。

 

p104

 

これは予測誤差によって常にサプライズが起こっている状況である。 精度制御がうまく

働かず、感覚信号に必要以上に大きなウエイトがかかるせいで、健常者が無視するような

些細な感覚信号にも大きく反応してしまう。 これが感覚過敏だと考えられる。

 

p105

 

健常者は、普段目の前の風景を細部まで覚えるわけではなく、重要なところに注意を

向けて知覚し記憶している。 一方、自閉症患者は、写真で撮ったように均一に風景を

知覚し記憶する。 また、注意が働かないと文脈的意味が犠牲となり、全体を統合する

処理よりも部分的な細部の処理が優先されるため、細かな特徴ばかりが知覚され記憶

される。 「木を見て森を見ず」の状態に近い

 

==>> 著者のお二人の専門は、認知神経科学と感覚運動機能などの分野ですが、

     ここでは統合失調症や自閉症の患者の脳の働きについても、

     自由エネルギー原理の仮説で説明が可能であることを述べています。

 

 

p108

 

赤ちゃんは一般に、赤ちゃん自身にとって統計的にサプライズの大きいところを見ること

で多くの情報を獲得することが知られている。 これは、外界の情報を効率的に取り入れ

て内部モデルの構築と修正を行なうためと考えられる。

 

 

p112

 

このような赤ちゃんの行動からもわかるように、人間行動の基本原理は、未来にサプライズ

が起きないように現在の環境を学習するということである。 

 

エントロピーは無秩序の尺度である。 熱力学の第二法則によれば、周りから閉ざされた

システム(閉鎖系)においては、エントロピーは時間とともに増大し、秩序が失われて

いく。 

 

一方、生物システムは、物質やエネルギーを絶えず環境と交換する非平衡開放系であり、

無秩序な状態へ移行しようとする自然の傾向に対して能動的に抵抗し秩序を形成すること

で、エントロピーが低い状態を維持している。

特に重要なのは、環境との関係を変更してホメオスタシスを維持する能力、すなわち、

自分の期待した状態(事前分布)を維持するために自ら行動する能力である。

 

==>> 赤ちゃんは外界のいろんな場面を貪欲に取り込んで生成モデルの材料を

     かき集めるわけですね。

     そして、推論を外れるようなサプライズが最小になるように経験を積むことで

     修正を加えていく。

     人間のような生物のシステムでは、能動的に秩序を作っていくことで

     エントロピーを低く抑えるように脳が制御していくということのようです。

     

p114

 

生物は、自分自身が世界の中に存在するものとして世界をモデル化する。 わたしが

世界の真のモデルをもち、その場合に限って「わたし」が存在するのである。

わたしは世界の生成モデルの下で後信念をもち、感覚予測をし、能動的推論を

行なうものであり、それゆえ「我思う、故に我あり」といえるのである

 

==>> なんだか哲学的な表現になってきました。

     ここで「後信念」と書いてあるのですが、ミスプリじゃないとすれば

     どういう意味なのでしょうか。

     生成モデルが更新された後ででてくる信念(隠れ状態について何らかの想定)と

いう意味なのでしょうか。

     そして、そのような脳の制御システムがある=「我思う」から、我ありと

     言えるのだってことになりますか。

     ということになると、我が自由意志によって思うのではなく、

     小びと説の小びとが集まって思う故に我ありということになるのでしょうか。

 

p118

 

世界、すなわち外部状態の物理的変化は、脳の中では非物質的な確率的信念の(自由エネ

ルギー)関数の変化として捉えられるが、感覚状態と運動状態というマルコフブランケット

を仲介とすることによって、世界(外部状態)から自分自身(内部状態)を分離し、

自分の中で現実とは異なる世界の状態について「自律的」に推論できるようになる。

 

p122

 

私たちは環境との相互作用を通じてエントロピーを一定の範囲内に抑えることにより、

ホメオスタシスを維持し、生存している。 そして、内受容感覚を通じて内環境を推論し、

精度の最適化を通じて自身の状態を感じ、世界の中での自身の存在を感じることができる

のである。

 

つまりは、デカルトの言葉、「我思う、故に我あり」というよりもむしろ、

「我あるが故に我思う」なのである

 

==>> マルコフブランケットについては、こちらに解説があります。

https://scrapbox.io/hitorigakusai/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

     「マルコフ・ブランケットという考え方は、システムが相対的に局所的な作用関

係を中心に構成される場合、「遠い」サブシステムどうしは影響し合わないので、

その結果として常に「内部」と「外部」との区分けが起こり、「内部」と「外部」

との間に仕切り──これがマルコフ・ブランケットである──が生じ、「内部」

は「外部」の変化を推論して適応しようとするメカニズムが生成される、という

考え方である。フリストンによれば、細胞膜はまさにこのマルコフ・ブランケッ

トであり、細胞内と細胞外のやりとりはすべて細胞膜を通して行われ、その結果

として細胞膜の「内と外」を分ける機能がますます強化される、というのである。」

 

     脳の内と外の間にブランケット(毛布)があって、これが感覚状態と運動状態

     を作って、内と外をインターフェースするような感じで外の状態を推論する

     機能をもっているということでしょうか。

 

     さて、著者の最後の言葉、「我思う、故に我あり」と「我あるが故に我思う」

     なんですが、この二つの「思う」は同じ意味なのでしょうか・・・・

     私には違う意味に見えるのですが。

 

=======

 

さて、この後は「あとがき」です。

 

 

p123

 

本書のタイトルにあるように、自由エネルギー原理は脳の大統一理論であり、脳に

かかわる多くの現象を一つの原理で説明しようとするものです。

細胞レベルから、神経回路、脳、人間行動、さらには発達、精神医学、進化、意識など

幅広い分野で知られているさまざまな現象を原理に基づいて説明しています。

 

 

p124

 

いずれの論文も高度な数理的・物理学的理論に基づいて書かれていますので、その

内容を簡単に紹介した書物はこれまでありませんでした。

 

==>> ということが書いてあります。

     その内容の凄さは私にはピンときませんが、私の疑問と言えば、

     「統一理論」ということは、この理論が出る前には、複数の理論があったと@

     いうことになります。 それはどんな理論だったのか、それが

     知りたくなりました。

     おそらく読んでも理解はできない理論でしょうけど。

 

 

私の感想を一言でまとめるならば、

なぜこの理論が統一理論と呼ばれるのかは分からないけれど、この理論がどのような

分野に広がりがあり、それぞれの分野の研究者がこの理論をどのように見ているのかが

知りたくなりました。

今後読むであろう関係分野の書物にこの原理のことが出てくることがあればいいなと

思います。

 

数式や物理学的考え方の素養がないのが残念です。

 


  

 

この本の著者である乾敏郎氏の論文がありました。

「自由エネルギー原理 ― 環境との相即不離の主観理論 ―」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/26/3/26_366/_pdf/-char/ja#:~:text=%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AF%E5%BE%8C%E3%81%AB%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%81%AE%20%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BA%28Shannon%20surprise%29%20%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%B0%8F%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E8%A1%8C%E5%8B%95%E3%81%99%E3%82%8B%20%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%EF%BC%8C%E3%81%93%E3%82%8C%E3%82%92%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%80%9D%E6%83%B3%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%EF%BC%8E%E3%81%93%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%97,%E3%81%A6%EF%BC%8C%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%AF%EF%BC%8C%E7%9F%A5%E8%A6%9A%E3%81%A8%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E5%BE%AA%20%E7%92%B0%E7%9A%84%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E6%80%A7%28circular%20causality%29%20%E3%82%92%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%AB%E5%8F%96%E3%82%8A%E8%BE%BC%E3%81%BF%EF%BC%8C%20%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%A8%E8%87%AA%E5%B7%B1%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%A7%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E5%88%86%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%8F

 

 

===== 完 =====

 

 

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