ノーム・チョムスキー著「誰が世界を支配しているのか?」を読む ― その12 ならず者超大国・アメリカ、 ネオリベラリズム(新自由主義)で民主主義が弱体化
ノーム・チョムスキー著「誰が世界を支配しているのか?」を読む ― その12 ならず者超大国・アメリカ、 ネオリベラリズム(新自由主義)で民主主義が弱体化
ノーム・チョムスキー著 大地舜 神原美奈子 訳
「誰が世界を支配しているのか?」を読んでいます。
「第二十一章 世界平和にとってもっとも危険なのは誰か?」
p317
米国で権力を握っている勢力は、イスラエルやサウジアラビアと立場が同じで、
「イランの脅威」についてヒステリー状態だ。 米国の評論家たちは党派の違いを超えて
イランは「世界平和にとって最大の脅威」だと真顔で断言する。
・・・共和党はほぼ全員が核合意に反対している。
大事なポイントは、共和党はとっくの昔に議会政党であることをやめてしまったことだ。
保守派の政治評論家ノーマン・オーンステインによると、彼らは今や「過激な反乱
分子」で「正常な議会政治に参加する気はない」という。
==>> この辺りを読んでいると、なぜ共和党がトランプの言いなりになっている
のかというのが雰囲気として分かりますね。
正常な議会政治を破壊するような行動すら、何もなかったかのように
認めているようですし。
(議会を襲撃した事件がありました。)
p319
レーガン大統領の時代から、共和党首脳陣は大金持ちや大企業とのつながりを深めてきた。
そのため票集めには、これまで政治勢力ではなかった層を動員するしかなくなった。
それは次のようなグループだ。 今の共和党に投票する有権者の大半を占めると思われる、
極度に敬虔なキリスト教福音派、かつて奴隷州だった南部の人々、白人・キリスト教・
アングロサクソンの国を奪われそうだと恐れている排外主義者。
・・・その結果、共和党は世界の主流から外れてしまったが、世界史上最強の国の
主流からは外れていない。
世界的な基準からの逸脱は、共和党に限った話ではない。
・・・イランがおとなしくしている限り、一方的な軍事攻撃の「可能性はきわめて低い」
という。 共和党も民主党も、この意見にはほぼ同意している。
==>> まあ、つまり、米国は共和党はもちろん、民主党も、世界の基準からは外れた
ところにいて、一方的な軍事攻撃の可能性を否定しているわけではないと
いうことのようです。
しかし、今現在進行中のロシアのウクライナへの侵攻に関連するニュースなど
を見ていると、ロシアの「一方的な軍事攻撃」を米国は非難しているようです。
自分は一方的にやっても構わないが、他の国がそれをやったら許さないという
考え方のようです。
p321
NPT(核不拡散条約)は、もっとも重要な軍縮協定だ。 遵守すれば、核兵器と
いう厄災を終わらせることができるかもしれない。 だが、WMD(大量破壊兵器)禁止
区域の決議の実効は、米国によって繰り返し阻まれてきた。 最近では2010年と
2015年に、オバマ大統領が阻止している。
・・・「イランの脅威」がなんであれ、中東でのWMD禁止区域設置は、それに対処する
優れた方法だ。 だが、米政権がイスラエルを守るために妨害工作をしている。
・・・米国の外にも世界はある。 その世界の見解は米国ではあまり報道されないが
重要だろう。 欧米の一流調査機関(WIN/ギャラップ・インターナショナル)に
よると、“最大の脅威賞”を勝ち取ったのは米国だ。 世界において米国はダントツで、
「世界平和にとって最大の脅威」と見られている。 二位は大差でパキスタンだが、
・・・・イランはこの二カ国に次ぐ三位で、中国、イスラエル、北朝鮮、アフガニスタン
と同列だ。
==>> こういう情報というのは、情報通を除いて、日本ではまず聞いたことは
ないのではないかと思います。 私は政治オンチですからなおさらです。
インターネットで検索してみたらありました:
「世界平和に「最大の脅威」である国のランキング」
https://www.huffingtonpost.jp/2014/01/06/greatest-threat-world-peace-country_n_4552097.html
「国際的な世論調査の結果、「世界平和に最大の脅威をもたらしている国」と
して、アメリカがトップに選出された。」
「アメリカは「最大の脅威」として24%の票を集め、2位のパキスタンの8%に
大きく差をつけて1位となった。その後の順位は、3位中国(6%)、4位アフガ
ニスタン(5%)と続く。」
「一方、アメリカ人による回答(PDF)からは、「国際的なトラブルメーカー」
に関する考え方の違いが見てとれる。「最大の脅威」としてアメリカ人の回答者
から最も多くの票を集めたのはイラン(20%)で、2位はアフガニスタン(14%)、
3位はアメリカと北朝鮮が同率(13%)なのだ。」
おお、このアメリカ人の回答は非常に面白いですね。
13%ものアメリカ人が自分の国を「危ない」国だと自覚しているわけです。
それも、北朝鮮と同じレベルとは・・・・
「日本での回答(PDF)で、「最大の脅威」として最も多く挙げられたのは中国
(38%)、2位は北朝鮮(22%)、3位はアメリカ(7%)だった。
中国での回答(PDF)は、1位アメリカ(49%)、2位日本(30%)、3位北朝鮮
(6%)。」
・・・日本人の回答は、まあ、そんなところかなという感じですが、
ロシアよりもアメリカの方が「危ない」と思われているのは興味を引きます。
今だったら圧倒的にアメリカよりもロシアでしょうね。
中国人の回答の中では、韓国じゃなくて北朝鮮が3位にあるというのが
なんだか変な感じがします。 韓国はちょっと脅かせばすぐにひれ伏すが
北朝鮮は何を考えているんだか分からないというような感覚でしょうか。
p323
イランの政権交代をもとめる米政権やイスラエルの発言のほうが、はるかに乱暴だ。
・・・1953年の「政権交代」までさかのぼる。 英米が画策して軍事クーデター
を起こし、パーレビ国王による独裁政権を誕生させたのだ。 国王はその後、世界最悪
の人権侵害を行なった。 こうした犯罪は、アムネスティ・インターナショナルなど
人権団体の報告書を読む人には知られているが、米国の新聞を読むだけではわからない。
米国では逆に、パーレビ政権が倒れてから、イランの人権侵害が報道されるように
なった。
==>> 英米が傀儡政権を作った例が書かれているのですが、これと同じことを
今ロシアがウクライナでやろうとしているわけですね。
プーチンに言わせれば、アメリカがさんざんやってきたことじゃないか、
俺が同じことをやってなにが悪いんだ、ってなところでしょうか。
また、これは報道の自由度がどれくらいあるのかが問題なんでしょう。
私のような極楽とんぼには、アメリカは自由の国だ、なんてことしか頭に
ないわけですが、こちらのランキングぐらいは頭に入れておいたほうが
よさそうです。
「2021年の報道の自由度ランキング」
https://ecodb.net/ranking/pfi.html
1位 ノルウェー
13位 ドイツ
25位 オーストラリア
34位 フランス
42位 韓国
44位 アメリカ
67位 日本
138位 フィリピン
150位 ロシア
177位 中国
179位 北朝鮮
北欧の国々はさすがですねえ。
アメリカは先進国の中では、かなり低いですね。自由と民主主義の国じゃない
ですね。
日本はさらにそれよりも低いってことを肝に銘じておかないといけません。
フィリピンは、ジャーナリストがかなり圧迫されたり、殺されたりしている
ようですが、ロシアに近い位置にあるというのが気になります。
中国と北朝鮮はさすがですね。管理システムもしっかりしているのでしょう。
p324
米国の独立宣言は「無慈悲で野蛮な先住民」について嘆き、ヒトラーはポーランド人の
「度しがたいテロ」からドイツを守ることを蛮行の口実にした。
P325
イスラエルの行っていることは、ヒズボラやハマスの起こす、どの事件よりもはるかに
ひどい。 テロ支援者の世界ランキングでも、イランの順位は決して高くない。
イスラム世界に限ってもそうだ。 イスラム教国の中ではサウジアラビアが一番の
テロ支援国だ。
・・・サウジはワッハーブ・サラフィー主義という極度に厳格なイスラム教(イスラム
原理主義)を、コーラン学校やモスク、聖職者などを通じて熱心に広げている。
サウジの極端な宗教思想は、ジハード主義という炎をあおり建てた。 IS(イスラム国)
は、そこから派生した傍流だ。
==>> ここでチョムスキーさんが述べている「テロ支援者の世界ランキング」という
ものを検索してみたのですが、見つかりませんでした。
その代わりと言ってはなんですが、こんな定義が書いてありました。
「テロ支援国家とは ?」
https://japanandworld.net/international-situation/3914/
「あくまで超大国であるアメリカがやるから効果を発揮する、懲罰的な意味合い
のあるテロ支援国家指定です。」
Wikipediaでは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AD%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%9B%BD%E5%AE%B6
「テロ行為を行っているか、テロリストに関連しているとアメリカ合衆国政府
に判断された国家のこと。」
つまり、アメリカ政府が一方的に決めつけている定義のようですので、
ここにはサウジアラビアの名前は出てきません。
こちらのサイトには、資金力ランキングがありますが、その資金がどこの
支援国から来ているのかの情報は書いてありません。
(ハマスについて、「資金援助と寄付(主にカタールから)」とあるのみです)
「世界10大テロ組織、資金力ランキング 首位イスラム国は年20億ドル」
https://forbesjapan.com/articles/detail/10662
「ISISは史上最も資金力のあるテロリスト組織。年間収入は20億ドル
(2,466億円)、アナリストによっては30億ドルと見積もっている。
主要資金源:石油販売、誘拐、人質、警備費、税金、銀行強盗、略奪など。
最終目的:イラク、シリア、ヨルダン、レバノン、パレスチナにわたる
「イスラム国」の樹立と、域内および十字軍(キリスト教徒)、ユダヤ教徒に
対する聖戦。」
・・・それにしても、イスラム原理主義のサウジアラビアと、キリスト教原理
主義の米国が仲良くしているというのが理解不能です。
そして、おまけに、ユダヤ教のイスラエルと米国がべったりというのも・・
やっぱり、金ってことですかねえ・・・・
p327
ギャラップ調査によれば、イラクは世界一不幸な国になった。
このとき火がついた宗派間の対立は、今も地域をズタズタに引き裂き、ISという怪物
が誕生する土壌をつくった。 それでも米国がやれば「安定化」で、イランの行動は
「不安定化をもたらす」恥ずべき行為ということになる。
レオン・ウィセルティエールは、リベラルな雑誌「アトランティック」の寄稿者だが、
理屈抜きのイラン嫌いであることを隠せていない。
・・・・
イランに“正しいマナー”を教えるべきだと提言している。
サウジと比べれば、イランはまるで自由な楽園であり、イスラエルはガザ地区などで
凶悪犯罪を続けている。だが、米国が今まで世界中で押し付け、あるいは支援した政権
がどれだけ人権侵害を重ねたかを考えると、その提言もなるほどと思える。
==>> ここでは、アメリカが今までに「安定化」という名目でやってきた
「不安定化」の話と、アメリカのリベラルとされる評論家?ですら、
米国が中東で何をやってきたのかを理解できていないんじゃないかと
見ているようです。
ところで、日本とイランの関係はどうなのかが気になりまして、
こちらのサイトを発見:
「イランの親日、今はアニメ 国交90年、険悪期一切なし」
https://digital.asahi.com/articles/ASM5X4V21M5XUHBI01N.html
「安倍晋三首相がイランを6月中旬に訪れる可能性が出ています。米国とイラン
の関係がこじれているため、イランと「伝統的な友好関係」(安倍首相)にある
日本が仲介役を務めようということのようです。」
「イランとは今年で国交樹立90年を迎えましたが、その間険悪な関係に
なったことは一度もありません。」
「イランはソ連やイギリスに実質的に占領され、石油利権を搾取され、「耐え忍
んできた」という歴史があります。そのため、第2次世界大戦で広島と長崎に
原子爆弾を落とされ、焼け野原になった日本と自国を重ねるようです。ちょうど
イラン・イラク戦争(1980~1988年)のころ、NHKのドラマ「おしん」
がイランで放映されていました。主人公の耐える姿はイラン人の心に響くもの
があったでしょう。」
「日本としては、資源のある米国とは違い、石油の安定確保のために、イラン
だけでなくペルシャ湾岸地域全体が重要でした。その中で特にホルムズ海峡に
臨むイランの存在は大きかったのです。革命前後、巨額の費用をかけて、イラン
南部に石油化学プラントを建設する両国の共同事業「イラン・ジャパン石油化学」
(IJPC)もありました。日本側は三井物産が中心でした。」
・・・この後に、記事は、ビザなし渡航によって、「イランから多くの観光目的
を建前として労働者が日本にやってきてその当時の日本の人手不足を補って
くれたことなどが述べられているのですが、少なくとも両国の間に悪い関係
はなかったようです。
今では、若者の間で日本のアニメが人気のようです。
p330
では、イランが抑止力を持つことを心配しているのは誰か?
答えはわかりきっている。 中東で無法を働いているならず者国家たちだ。
彼らは暴力と侵略行為を行なっており、邪魔する者を許さない。 その筆頭は米国と
イスラエルで、サウジアラビアも全力で追いつこうと頑張っている。
p331
米国がならず者呼ばわりされるのは珍しくない。 著名な政治アナリスト、サミュエル・
ハンチントンは・・・・「(米国は)ならず者超大国になっている。 世界諸国にとっては
外部からの最大の脅威だ」
米国政治学会会長のロバート・ジャーヴィスも「世界の大部分は米国をならず者国家
の親玉とみている」と同意見だ。
・・・この意見は世界的な世論調査でも、かなり優勢だ。
しかも米国は、ならず者であることを誇りにしている。
イランが核合意に違反したと一方的に判断して、力に訴える権利があると主張する・・
・・・この方針は、リベラルな民主党員にとっても同じで、対イランに限ったものでもない。
==>> ならず者国家であることを誇りにしているとは恐れ入りました。
そして、そういう意識では、共和党も民主党も同じであるようです。
まあ、これは呼び方の問題ですから、「ならず者」と呼ぶか、「世界の
警察官」と呼ぶかの違いでしょうか。
ただ、米国はもう世界の警察官はやらないよと言いだしているようですから、
「ならず者」の方も同時になくなるのでしょうか・・・・
p332
・・・南極の氷を調査してきた科学者たちを驚かせ、警戒させる内容だった。
グリーンランドの巨大氷河ザカライ・イストロムが「2012年に安定した位置から
分離して、後退が加速している」のだ。 これは不吉だ。 この氷河は「もし全部
融解すれば、世界の海面を46センチ以上も上昇させる。 現在は毎年50億トンと
いう氷が北大西洋に崩れ落ちている」。
p333
「以前から、交渉者たちは法的拘束力のある“条約”を作ろうと努めてきた。 条約は
各国政府が批准して初めて効力を発するが、それは米国のせいで不可能だ。 米連邦議会
に否決されるに決まっている。 共和党が牛耳る上院で、必要な三分の二の賛成が
得られないからだ。 そこで強制力のある目標の代わりに、努力目標が設定されている」。
だが、“努力目標”というものは失敗が保証されているようなものだ。
==>> チョムスキーさんはこの本で、核兵器の脅威と地球温暖化の脅威が人類に
差し迫った最大の脅威であると主張しているのですが、ここまで読んできて
分ってきたことは、その二つとも、米国が反対していることでオジャンに
なりそうだということですね。
世界の超ならず者あるいは警察官を降りようとするアメリカは、
「そんなのカンケーね~~」と言っているようです。
「関係ない派」
https://www.youtube.com/watch?v=9Ijcn3rCt-8
「オーシャンパシフィックピース=Peace in Pacific Ocean???」
p334
ネオリベラリズム(新自由主義)が台頭した過去30年に、民主党も共和党も右へと
舵をきった。 現在の民主党主流派は、昔なら「共和党穏健派」と呼ばれただろう。
一方、共和党の大半は驚くほど右傾化した。 保守派の政治アナリスト、トーマス・
マンやノーマン・オーンステインが「過激な反乱分子」と呼ぶほどであり、通常の
議会政治を放棄したも同然だ。
この右傾化にともない、共和党は富や特権を極度に重視するようになった。
p335
「ニューヨーク・タイムズ」の記事によれば、「米国民の三分の二は、温室効果ガス
を抑制するために、米国が国際協定に加盟することに賛成している」。
そして5対3の割合で、気候のほうが経済より重要だと考えている。だがそれは関係ない。
民意は無視される。
p336
民主主義の弱体化は、個人の自由や市場原理を高く評価し、政府による介入は
最低限にすべきとする新自由主義の成果の一つだ。 これは米国に限らない。
ヨーロッパのほうが影響は深刻かもしれない。
==>> 日本においても、近年の右傾化はときおり一部で議論されているようです。
そしてそれは、貧富の格差という形で、各国に現われて、それによって
国民の分断も進んでいるように見えます。
「新自由主義で格差拡大の要因」
https://vicryptopix.com/neolibralism/
「新自由主義は、自由であるという響きから国民主体の素晴らしい考え方の
ようにも見えます。しかし、政府の介入をなくし規制を緩和することで貧富の
差が広がりました。
日本でも小泉政権の時に、新自由主義路線がとられました。そこで行われたのが
労働力の規制緩和です。派遣労働者の仕組みが解禁されたために、不景気の際に
大量に派遣切りが起き、強者の企業と弱者の労働者という構図を一層強め
ました。
アメリカにおいては、レーガン大統領の時に新自由主義路線の政策をとりま
した。その結果、巨大な格差が広がったと言われています。」
「世界の貧富格差、その現状・特徴と経済成長との関係」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3d84c6c52030accb00591530c1f3d517212fe7c
「我々は1割の富裕層が8割の富を所有する世界で暮らしているようだ。」
「「世界不平等レポート2022(World Inequality Report 2022)」によると、世界
トップ10%の裕福な家庭が所有する富(Wealth)は成人一人当たり平均550,920
ユーロ(日本円に換算すると約7,790万円、€1PPP=JPY141.4)で全体の75.6%
を占めている。」
・・・もしあなたが8千万円の資産を持っていたら、世界のトップ10%に
入っているお金持ちだということのようです。
「日本の状況を見ると(図表3)、全人口の富は成人一人当たり平均2,566万円
で世界全体の2.5倍の富を所有している。・・・・世界全体に比べて貧富格差が
小さいことが分かる。」
「米国の状況を見ると、全人口の富は成人一人当たり平均4,010万円で日本の
1.6倍の富を所有している。
階層別に見るとボトム50%が日本の0.4倍、中間40%が1.2倍、トップ10%が
1.9倍、トップ1%が2.2倍となっており、日本に比べて貧富格差が大きいこと
が分かる。なお、米国のボトム50%の富は中国のそれをやや下回っている。」
・・・ということで、日本の貧富の格差はアメリカほどひどくはない。
アメリカの貧乏人は中国よりもひどいという話のようです。
さすがに自由の国です。
そこで、逆にジニ係数で収入格差が一番低いとなっているスウェーデンには
なにか問題があるのか、ないのか、をチェックしてみます。
まず、ジニ係数はこちらで、スウェーデンは141位ですから、一番格差が
小さいということですね。 北欧の国々はほとんどランクが下にあります。
http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2172R.html
https://jp.reuters.com/article/sweden-rich-tax-idJPKCN1RM0XK
「[ストックホルム 10日 ロイター] - 平等な社会だと世界的に定評のある
スウェーデンだが、社会民主労働党率いる政府が導入する高所得者層向けの
減税策により、富裕層と貧困層の格差が拡大することになる。
「スウェーデンは世界最高の国だ。富裕層にとってはね」と、社会民主労働党
の元議員で現在は医療分野のビジネスマンに転向したヤン・エマヌエル・ヨハン
ソン氏はユーチューブ動画で皮肉に語っている。
スウェーデンで人気のリアリティー番組シリーズ「ロビンソン」で優勝した有名
人で富豪のヨハンソン氏は、格差拡大は、街で暴動が起きるなど社会全体にとっ
て代償を伴うと警告する。
「自分は特権階級の1人で、自宅周辺に高い壁を築くことができるとも言える。
もしくは、地下鉄に乗る人たちに降りかかる災いは、いずれロールスロイスを
運転する人たちにも災いとなることを認識する必要がある、とも言えるだろう」」
・・・世界で一番格差が少ないとされるスウェーデンにも、いろいろと
課題はあるようです。
それにしても、政党の名前だけをみても、どんなことをやる政党なのかの
イメージがまったつつかめないですね。
p340
NATOの東方拡大にも同じことがいえる。 ゴルバチョフが統一ドイツのNATO参加を
許したのは、20世紀の歴史を思えば驚くべき譲歩だ。 その後、NATOはロシア国境
まで広がり、今ではウクライナの加盟も現実味を帯びてきた。 ウクライナはロシアの
地理的戦略の核心に位置しているので、ロシアにとっては脅威だ。
米がロシア国境周辺に配備しているミサイル防衛システムは先制攻撃兵器で、戦略優位性、
つまり反撃を受けないことを目的としている。 それはロシアも中国も(そして米の
戦略専門家も)理解している。
p341
大国による先制攻撃は、反撃がなかったとしても、「核の冬」を引き起こし、攻撃した側
をも破滅させる。 そのことは何十年も前から認識されていた。
p342
核兵器がある限り世界は一瞬で破壊される危険がある。 私たちは、少なくとも理屈上は、
核の脅威を軽減する方法や解消する方法を知っている。 核の脅威を軽減することは、
NPTに署名した核保有国が負う(そして無視している)義務だ。
人類が今後も生きながらえて、まともな生活を送れる可能性は高くない。
・・・責任の大部分は私たちの手中にある。・・・・
==>> ロシアのウクライナ侵攻が現実問題となっている今、チョムスキーさんの
最大の懸念は核兵器であるのでしょう。
実際に、化学兵器や生物兵器の使用を仄めかすニュースが飛び交い、
核兵器の使用についてもその可能性が語られています。
どちらにせよ、そのボタンを押す人間がいないことを祈るのみです。
単なる経済やメンツなどの為に、人類はたまた地球を破滅させることなど
どうかんがえてもバカな話ですが、人類がそういう馬鹿な能力を持っている
ということ自体が、神の失敗なのかもしれません。
あるいは、逆にそこまで計算して神は人類を創ったのでしょうか。
それはあまりにも恐ろしい話になってしまいますが・・・・
次回は、「第二十三章 人類の支配者」に入ります。
=== 次回その13 に続きます ===
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