ノーム・チョムスキー著「誰が世界を支配しているのか?」を読む ― その10 米国がイスラエル支持する限り・・・。フルシチョフが提案し、ケネディが拒否した軍縮

ノーム・チョムスキー著「誰が世界を支配しているのか?」を読む ― その10 米国がイスラエル支持する限り・・・。フルシチョフが提案し、ケネディが拒否した軍縮

 

ノーム・チョムスキー著 大地舜 神原美奈子 訳

「誰が世界を支配しているのか?」を読んでいます。

 


 

「第十四章 アウトレイジ(暴挙と激怒)」

 

 

==>> この章では、アメリカのミサイル巡洋艦ヴィンセンス号から発射された

     ミサイルで射ち落とされたイラン航空655便のことも書かれています。

     エアバス機が撃墜され、子供66人を含む290人が死亡した出来事です。

     

 

p249

 

ヴィンセンス号はイラン領海で何をしていたのか?  答えは簡単だ。 サダム・フセイン

を守っていたのだ。 サダムは米政権の“親友”であり、イランを猛攻撃していた

 

・・・レーガンはサダムを国務省のテロリスト・リストから外し、イラン攻撃に役立つ

支援物資を送れるようにした。

 

==>> そして結局は、アメリカはサダム・フセインを抹殺したわけですが・・・・

 

 

p252

 

・・・イスラエルによる残虐事件が起きた。 ・・・中東アナリストのムーイン・ラバニ

は、「パレスチナ人の命は欧米において軽視されるのが当たり前になっている。 だから

パレスチナ人は暴力に訴える。 先般のイスラエルのガザ地区攻撃も、パレスチナ人の

命の軽視が理由だ」という。

 

 

p262

 

国連の難民保護施設への攻撃もイスラエルの得意技だ。 有名なケースは1996年に

レバノンのカナで国連の避難所を爆撃した事件だ。 ぺレス首相の「怒りの葡萄作戦」

の中の出来事だった。 

 

p265

 

米国がイスラエル支持を続ければ、犯罪的な政策が継続される可能性が高い

国際社会は長年、一致して外交的解決を求めてきた。 イスラエルがそれを拒否して

犯罪行為を続け、米国がほぼ単独でイスラエルの味方を続けるなら、犯罪的な政策が

継続されるだろう。

 

 

p268

 

ここ何年か、国民が政府に対して、イスラエルへの軍事援助をやめろと声を上げている。

それには立派な根拠がある、米国法は「人権への重大な侵害を、同じパターンで繰り返す

国に対して、安全保障の支援をしてはならない」と定めている。 これはイスラエルに

間違いなく当てはまる。

 

==>> アメリカのイスラエルへの肩入れは、トランプ前政権の時に、かなり大胆な

     ところまで進められたようです。

     こちらのサイトで、その理由を勉強しましょう。

 

     「パレスチナ問題~トランプ大統領が親イスラエル政策をとる理由」

     https://news.1242.com/article/190221

     「国連安全保障理事会は20日、パレスチナ問題について協議した。アメリカの

トランプ政権がイスラエルによるヨルダン川西岸での入植活動を、国際法に

違反していないとして事実上容認したことに関し、アメリカ以外の理事国は

相次いで入植活動を国際法違反だと非難、即時停止を求めた2016年の安保理

決議の再確認と順守を求めたということだ。」

 

「飯田)福音派と呼ばれる人たちは、基本的に聖書原理主義と言われる人だと

思いますけれども、その人たちがイスラエルにこだわるのは終末の日にエルサ

レムに、というところの話ですか?

宮家)そうです。そう書いてあると信じていますから。だから彼らはイスラエル

を守らなくてはならないと思っているわけです。しかし、彼らもキリスト教徒で

すから、最後は自分たちだけが生き残ると思っているのでしょうが、そういう

意味でイスラエルに近しい宗派が福音派だと考えていいと思います。」

 

「飯田)その大イスラエル主義というと、2000年以上前にここにユダヤ王国が

あったのだという話まで遡るわけですよね。

宮家)そんなことを言われても今住んでいる人たちは困りますよね。」

 

     ・・・まあ、結局、ここでは宗教の問題だから・・・ということになっている

     んですが、チョムスキーさんの見方から言えば、宗教や政治というよりも、

     超大金持ちの世界支配のための手段という話なんじゃないかと思います。

 

 

「第十五章 真夜中まで、あと何分?」

 

p270

 

あと何年残っているだろうか?

そんな暗い見通しについて、核兵器および核戦略を管理するSTRATCOM(米戦略司令部)

の元トップ、リー・バトラー将軍が考察をしている。 彼は二十年前、次のように書いた。

(われわれがNWEをここまで生き抜いてきたのは)スキルと幸運と天の助けのおかげだ。

私としては、最後の要素が一番大きかったと思っている

 

 

・・・自らについてほろ苦く「核兵器のもっとも熱心な信奉者の一人」だったと述べている。

だが彼は気づいた。 「核兵器は何の益ももたらさなかった。 はっきりそう言うのが

私の義務だ」。 そして、こう問いかける。 「核保有国の指導者たちは、地球生命の

存続を危うくする力を使うどんな権利があるのか? ・・・・愚かさのたまものである

核兵器を協力して廃絶すべきときだ

 

==>> NWEというのは核兵器時代という意味です。

世界終末時計というのがありまして、世界の終末まであと何分あるかという

     残り時間を表わしているものですが、それが、今現在進行中のロシアの

     ウクライナへの侵攻でどうなっているかといいますと。

     下記のように、あと100秒で世界は終わるとなっているようです。

https://www.postapocalypticmedia.com/doomsday-clock-now-update-russia-ukraine/

     「The Bulletin of Atomic Scientists noted that when they chose to put the clock at

100 seconds to midnight in January, it was partially because of the situation in

Ukraine. As of now, the time on the clock hasn’t changed from January. But

 they’ve taken this opportunity to explain to people why they chose the

100 seconds time and why it’s staying.

 

     こちらの日本語サイトでは、2020年までのデータしかありませんが、

     それでも「あと100秒」となっています。

     「原爆投下75年 終末時計100秒の警告」(時論公論)

     https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/434093.html

     「冷戦期の米ソが水爆実験に成功した頃は「2分前」。米ソの雪解けで針が

戻っても、再び軍拡競争が激しくなると「3分前」。冷戦の終結後「17分前」

まで一気に針が戻ったのも束の間、核の拡散やテロの頻発、近年は気候変動問題

なども考慮して、いま時計の針は「140秒つまり100秒前」を指し、かつて

なく破滅に近いと言うのです。」

核の超大国米ロの関係が最低レベルにあるということだ。プーチン大統領は

主権国家としてのロシアを復活、アメリカの一極支配に挑戦している。政治対話

はほとんど行われず、相互の不信感は深まっている。しかし冷戦時代と変わら

ないのは米ロが世界を破滅させるだけの核兵器を保有している事実だ。

さらにロシアは、アメリカのミサイル防衛に対抗して様々な新型の核兵器を

開発している。」

 

・・・つまり、既に2020年から「あと100秒」というのは、今回の

ロシアのウクライナ侵攻でも特段の変化の理由にはならないようです。

つまり、今回のような危機は既に織り込み済みだということなのでしょう。

 

p274

 

・・・軍拡競争をやめなくてはならない。

そこでフルシチョフは、互いに攻撃兵器を大幅に削減することを提案した

ケネディ新政権はこの提案を検討したが拒否し、逆に急激な軍拡を行なった

すでに米国の軍事力のほうがずっと上だったにもかかわらずだ。

 

・・・米政府はまたも、国民の安全保障よりも軍事力強化を選んだのだ。

 

 

p275

 

ソ連は米国と違って攻撃されやすく、過去に何度も侵略を受けて徹底的に破壊されている

それが1983年の戦争勃発の危機につながった。 新たに公開された公文書で、危険は

それまで歴史学者が考えていたよりさらに深刻だったことが判明した。

 

p276

 

実はもっと危険な状況だったことが、2013年の秋にあきらかになった。

BBCによれば、当時、ロシアの早期警戒システムが、米国からのミサイル飛来を探知して、

核システムを最高警戒レベルに挙げていた。 ソ連軍の規定では、核攻撃があれば報復

する決まりだった。 だが、幸いにも、当直の士官スタニスラフ・ペトロフは指令に背き、

警報を上官に報告しなかった。 彼は叱責されたが、彼の“職務怠慢”のおかげで、

私たちは今もこうして生きて、その事件について語ることができる。

 

p278

 

「完全に理性的で冷静だと思われたら損だ。 重要な権益を侵されたら、米国は理性を

失って報復に出かねない。そういうイメージをある程度与えておくべきだ

・・・そうすれば、常に相手を核攻撃の脅威にさらすことができるというわけだ。

 

==>> 何を考えているか分からないと相手に思わせていることが戦術的に

     有利であるということであれば、 トランプ前大統領や今のプーチン大統領

     はそういう雰囲気を醸し出しているということになるのでしょうか。

     北朝鮮の場合は、それが徹底して伝統にすらなっている感じですけど。

 

     それはともかく、ロシアの士官が職務怠慢でよかった。

     これがすべてAI制御になっていたら、糞真面目に人類を滅ぼすのでしょう。

 

p279

 

オバマもまた、政治的利益のためには“火遊び”をいとわなかった。 たとえば米海軍の

特殊部隊シールズによるオサマ・ビンラディンの拘束と殺害だ。 オバマは2013年

5月に、国家安全保障についての重要なスピーチで、誇らしげにそのことに触れた。

そのスピーチは広く報道されたが、無視された重要な段落が一つある。

オバマはこの作戦を讃えたが、これを当たり前にしてはいけないと付け加えた。

リスクが「非常に大きい」からだ。

 

・・・パキスタンは、よく訓練された強力な軍隊を持っており、自国の主権を守る

意識が高い。

・・・パキスタン国民は米政府の政策やドローンを使ったテロ活動に憤慨し、過激化して

いることは誰でも知っている。

 

==>> ここでは、このオサマ・ビンラディンの殺害実行計画が実施された時の、

     全面的な戦争へのリスクが大きかったことが述べられています。

     上記にも書いてあったように、リー・バトラー将軍の「スキルと幸運と天の助け

のおかげだ。私としては、最後の要素が一番大きかったと思っている」という

「天の助け」という点が、いつまでも続くわけがないということを

チョムスキーさんは懸念しています。

 

 

「第十六章 破られ続ける停戦協定」

 

p281

 

停戦協定はこれまで何度も結ばれたが、イスラエルの狼藉は続いている。

・・・だがいつも、イスラエルが協定を破る。ハマスは協定を守るが、イスラエルの

暴力が激しくなると、やり返さざるを得ない。 すると、イスラエルの攻撃はさらに

残虐性を増す。 それがお決まりのパターンだ。

 

p289

 

結局のところ、イスラエル人からみると彼らは、“非民”なのだ

 

p290

 

シオニストは一世紀にわたりパレスチナを植民地化してきた。 それは主に、実績を

積み重ねれば、最終的には世界も認めるはずだという“原則”に従って行われた。

この政策は今のところ大成功している。 そして、米国が軍事、経済、外交、イデオロギー

面で必要な支援を提供する限り、今後も続くだろう

非道に扱われているパレスチナ人の権利に関心を持つ者にとって、最優先は米国の政策

を変える努力をすることだ。

 

==>> パレスチナ問題は、宗教問題が根源にあるようなので、私のような

     歴史的・宗教的背景を知らない日本の凡人にはさっぱり理解ができないので、

     ここで、基本的なことだけでも確認しておきましょう。

     https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji97/

     「パレスチナ問題の根源は「2つの悲劇」にあるとも言われています。」

     「1つは、ユダヤ人が2000年の長い歴史の中で世界に離散し、迫害を受けてき

た悲劇です。やっとの思いで悲願の国(=イスラエル)をつくり、それを死守して

いきたい、二度と自分たちが迫害されるような歴史に戻りたくない。」

「もう1つは、パレスチナの地に根を下ろしていた70万人が、イスラエルの

建国で故郷を追われたという、パレスチナ人の悲劇です。

離散したユダヤ人が戻って国をつくったことで、今度はパレスチナ人が離散

するんですね…」

「パレスチナ問題は、局所的な場所で、2つの悲劇がぶつかり合っているように

見えますが、実はイスラエルの背後にはアメリカが、パレスチナにはアラブ・

イスラム世界がある。」

「ヨーロッパでキリスト教が広がると、ユダヤ人はキリストを処刑した人たち

とみなされ、差別や迫害の対象になってしまうんです。」

 

・・・この後に「イギリスの三枚舌外交」などがいろいろ書かれています。

 

まあ、このような構図をむりやり日本に当てはめて空想したとすれば、

大昔の縄文人がどこかに追いやられていたのが、2千年経って日本列島に

戻ってきて、弥生人を主とする種族との間で、土地争いをやっているような

ものでしょうか・・・・妄想です。

 

日本の都市伝説のひとつとして「日ユ同祖論」というのがありますので、

いろいろと妄想を広げてみてもいいんじゃないでしょうか。

https://urbanlegend-jp.com/blog/japanese-yu-cousin/

「伊勢神宮の内宮から外宮に至る道路の両側に並ぶ石灯籠には、「カゴメ紋

(六芒星)」が刻み込まれいます。 しかし、このことが有名になり、石灯籠が

撤去されてしまったのです。 」

「鳥居の形は古代イスラエルの建物の入り口とそっくりの構造をしています。

他にも「鳥居」はヘブライ語アラム方言で「門」という意味であるのです。」

「祈りの時の正装に着替えて、ヒラクティリーを額に付けます。

これは山伏が頭につける兜巾(ときん)と使用方法が酷似しているのです。」

「アークには全体に黄金が張られており、旧約聖書の出エジプト記には

アーク自体の作り方が記されています。アークと神輿は見た目がそっくりな

事以外に以下の共通点があります。

アーク上部の天使像と神輿上部の鳳凰がともに羽を広げている」

 

・・・まあ、いろいろとそれっぽい共通点があるようですが、これぞという

ところまでは詰め切れていないようです。

 

過去に読んだ本には、下のようなものがありました。

 

苫米地さんの「日本教」と「日ユ同祖論」 2

― ヨセフ・アイデルバーグ著 「大和民族はユダヤ人だった」を読む

http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2021/04/post-fd602b.html

「苫米地英人著「人はなぜ、宗教にハマるのか?」を読んでいたら

いきなり第五章に「現代に続く「日本教」はいつ生まれ、どこへむかうのか?」

というのがあって、そこになぜか日ユ同祖論がかなりのページを割いて

記述されていました。

それに釣られて、上記の二冊の本をうっかり買ってしまったんですが、

結論から言えば、今一つ・・納得は無理、という感じでした。」

 

 

 

では、次回は「第十七章  テロリスト大国・アメリカ」 に入ります。

 

 

=== 次回その11 に続きます ===

 ノーム・チョムスキー著「誰が世界を支配しているのか?」を読む ― その11 テロリスト大国・アメリカ、 幸せな米国民が知らない情報とは (sasetamotsubaguio.blogspot.com)

 

 

 

 

 

 

 

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