宮坂昌之著 「新型コロナワクチン 本当の「真実」」 ― 1 相棒が大笑いしていたので読んでしまいました
宮坂昌之著 「新型コロナワクチン 本当の「真実」」 ― 1 相棒が大笑いしていたので読んでしまいました
宮坂昌之著 「新型コロナワクチン 本当の「真実」」
「免疫学の第一人者が、凡ての疑問に答える」 を読んでいます。
私は、この本を読むつもりは全くなかったんです。
もうコロナ関係の本は数冊読んだもので、食傷気味だったんです。
ところが、我が家の相棒、元薬剤師が、新聞広告でこの本を知り、「注文しろ」と
いうものだから、注文しました。
そして、相棒が、この本を読みながら大笑いしているんです。
なにがそんなに面白いのか・・・と引きずられて読んでしまいました。
出版は2021年8月20日ですから、内容的にはデルタ株の急激な感染が始まった
頃までの情報が含まれていますので、ほぼ最新といってよいかと思います。
この方は、経歴をみると確かに免疫学のエキスパートです。
書かれている内容も、いままでに読んだ本の中では、免疫機能の解説が断トツで充実
しています。 それも分かりやすくかいてあります。
我が相棒が大笑いしていたのは、「第7章 「嫌ワクチン本」を検証する」のところでした。
実に具体的に、いわゆる専門家の名前を挙げ、その発言内容を具体的に書き、そしてその
ひとつひとつの間違いに容赦のない、そして免疫学エキスパートならではの厳しい批判を
書いています。 そして、自分が分からないことについては、あくまでも謙虚に
「分からない」と書いています。
では、私が勉強になったところや、反ワクチン派への手厳しい指摘などを主にピックアップ
しながら、勝手な感想を書いていきます。
もちろん、私はド素人ですから、私のコメントは信用しないでください。
=====
p16
「新型コロナなんてただの風邪。 恐るるにたらず」「高齢者が重症化しやすいのは
他の風邪と同じこと。 マスコミや御用学者が作り出したTVウイルス」「マスクなんて
やめて自然感染をしてとっとと免疫をつけたほうがいい」といった、新型コロナウイルス
の危険性を軽視される方がいらっしゃいます。 これは正しい理解ではありません。
新型コロナウイルスは、実にやっかいな性質を持った手強いウイルスです。
==>> まあ、これは、デルタ株が猛威を振るっている現状を経験している日本人は、
自宅待機(自宅療養なんて呼べない)の感染者が12万人もいて、自宅で
放置されたまま亡くなっているニュースを見て、さすがに上のような暴言は
吐けなくなっているとは思いますが・・・・
p19
一般的な風邪ウイルスの場合、感染した数日以内に発症するのが普通です。 ところが
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)は、平均5日前後で発症し、潜伏期間
(感染した日から症状が出現するまでの期間)は最長で14日に及びます。
つまり感染していても、2週間も症状が現れないこともあるのです。
・・・無自覚のまま感染を広げているケースがあるようです。
p20
約20%が肺炎症状がひどくなり、5%が人工呼吸器を付けたり、集中治療室に入る
ようになります。 インフルエンザの致死率は0.1%程度ですが、COVID―19の
致死率は2~3%程度ですから、決して「ただの風邪」ではありません。
・・・高齢になればなるほど重症化するリスクが高まりますから、かなり怖い病気です。
==>> これが書かれたのはデルタ株が急激に増える前の段階だと思われますので、
マスコミなどで「従来株、アルファ株と、デルタ株はまったく別の病気だ」
とも言われているぐらいなので、かなり様子は違ってきています。
特に、ワクチン接種が進んだ高齢者の死亡数が減り、若い人たちに重症化や
死亡が増えている数字をみれば明らかかと思います。
p22
感染力の強いインフルエンザをこれほどまでに減少させるほどの徹底的な予防策にも
かかわらず、新型コロナウイルスの感染はいっこうに収まる気配がありません。
新型コロナウイルスの強力な感染力を生み出しているのが、「ステルス性」です。
・・・潜伏期間は最長で14日と長く・・・・
==>> ここでは、例年のインフルエンザ感染者およそ1千万人が、コロナが流行り
出してから、1000分の1にまで激減したことを述べています。
インフルエンザの感染は新型コロナに比べれば簡単に対策が打てるもので
あったという話にもなります。
p24
ほとんどの二次感染は発症5日までに起きて、7日以降は感染力がほぼなくなっています。
ところが、多くの医療機関では、PCR検査陰性を退院の条件に使っているため、陽性
反応が出ている限り、患者さんを退院させることができません。その結果、コロナ患者
を収容する「コロナ病床」がすでに満床になって、新型コロナの新規患者を受け入れる
ことができずに「医療崩壊」を招いています。
==>> ここは医療機関としても痛しかゆしの部分でしょうか。
今のところPCR検査しか頼れる検査がないということなのでしょうか。
感染力がもう無くなりましたというのを確認できる検査があれば
いいのでしょうが・・・
p30
普通のウイルスであれば、細胞に感染することに成功しても、私たちの免疫系によって、
すぐに抑え込まれてしまいます。
ところが、新型コロナウイルスの場合には、しばしばI型インターフェロンがうまく
作られず、ウイルス排除が滞るようになります。 このため、火事によって隣接する
家屋が次々に延焼していくように、感染が周辺の細胞に広がっていきます。
p31
・・・このため、新型コロナウイルスは肺だけでなく、腸にも感染します。
さらに個人差はありますが、口腔粘膜、鼻腔粘膜の上皮細胞、さらには血管内皮細胞
や脂肪細胞にもこのACE2が存在しますので、感染がひどくなると、全身のいたるところ
で炎症が広がり、急激に全身症状が悪化していきます。
==>> 自宅待機の人たちの中には、急激に症状が悪化して亡くなるケースがある
ようですが、上記のような炎症の広がりがその原因であるようです。
p34
新型コロナウイルスを標的とする医薬品が世界中で開発されていますが、現時点では、
感染者の症状悪化を食い止める薬はあるものの、病気を根治させる特効薬は存在しま
せん。 感染した場合の重症化リスクを考えると、現時点では、ワクチンを接種すること
で感染リスクを下げるのが最も合理的です。
==>> 高齢者へのワクチン接種に伴い、急激に高齢者の感染、重症化、死亡が減少
したことをみれば、この効果は明らかであると思います。
一方で、ワクチン接種が進んでいない若い世代に、感染が急拡大している
ことが大変心配です。
p42
2つのワクチンの有効率は、季節性インフルエンザワクチンの有効率30~60%と
比べて非常に高い数値です。 重症化予防効果についてもファイザー製、モデルナ製とも
非常に高くなっています。 正直なところ、2020年時点では、私もここまで高い効果
が得られるとは思っていませんでした。 専門家でもここまで優れた成績が得られると
予想した人は少なかったのではないでしょうか。
==>> 有効率については、こちらのサイトでご確認ください。
ふたつの新型コロナワクチンの有効率は95%前後になっています。
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20210521d.html
この著者の知ったかぶりをしない態度は、非常に良いと思います。
「mRNAワクチン」という新しい技術ですから、当たり前かもしれませんが。
p42
製造承認を得るにあたり、ファイザー社は海外6カ国(米国、ドイツ、トルコ、ブラジル、
アルゼンチン、南アフリカ)で約4万人、モデルナ社は米国の約3万人の被験者を対象
に大規模な臨床試験を行いました。 両社はワクチンを接種する人とプラセボ(生理
食塩水)を接種する人に分け、2回ワクチンを接種した後に、発症がどの程度抑制される
かを比較しました。
==>> このようなワクチン開発については、日本とウクライナはワクチンへの
不信感が大きく、厚労省がリスクを負いたくないという背景もあって、
日本の研究者や製薬会社が尻込みをして開発が進まないそうです。
おそらく、臨床試験などへの協力者も少ないのでしょう。
パンデミックの脅威から国民を国産のワクチンや医薬品で守れない、世界に
貢献もできないというのは、哀しいですね。
私のような高齢者になると、若い人たちの為にも、そういう試験に協力したいと
いう気持ちはあるのですが・・・・
p44
・・・イスラエルはその後、6月末から再び感染者が増えだし、7月末には新規感染者
は再び1500人を突破しました。 これは流行の中心が英国型変異株(アルファ株)
からインド型変異株(デルタ株)に変わりつつあるからであり、それに伴い、感染予防
効果が以前の90%を超える数字から60%台へと下がっているからです。
しかし、重症化や入院を抑える効果は相変わらず90%以上ですので、デルタ株に
対してもワクチンの効果はしっかり出ています。
==>> これが今のデルタ株による第5波の日本での状況にも反映していると
思います。問題は日本ではなかなか進まない若い世代への接種です。
p46
海外の最近のデータ(2021年4月)では、ウイルスを無力化する中和抗体の持続性
で見る限り、mRNAワクチンの効果は少なくとも6カ月以上は持続することがわかって
いて、抗体の減少曲線を見ると、おそらく1年ぐらいは中和抗体が高いレベルで
残存すると思われます。
p47
・・・ここでいう「効果持続期間」とは、ワクチンの当初の効果が50%以下に
減弱する時間のことです。
たとえば、破傷風、風しん、麻しん(はしか)、ジフテリアなどに対するワクチンの
効果は、50年以上持続し、今、問題になっている子宮頸がん(HPV)ワクチンでも
30年以上の効果があるようです。
一方、百日咳ワクチンは3年程度と短く、インフルエンザワクチンに至っては、その
効果はなんと4か月程度という短さです。
==>> 私は6月末に2回目を接種して、抗体検査もバッチリでしたので、
来年の前半までは一応大丈夫ということになりそうです。
もし来年も変異株が襲ってきそうなら、3回目を打つことになるのでしょう。
p51
2回目の接種により免疫効果がぐんと上がるというのは、免疫学的に考えれば当然の
ことで、ウイルス防御には中和抗体だけではなく、その他の種類の抗体や、さらには
T細胞、NK細胞なども関与し、いずれもが2回目の接種により活性化され、強く
働くことが期待されるからです。
6月3日号の英国医学誌「Lancet」に出た論文では、・・・・インド型変異株に対しては、
確かに1回接種では若干中和抗体ができにくいというものでした。 この傾向は被接種者
の年齢が高いほど顕著でした。 しかし、2回接種だと、年齢にかかわらず、多くの人
で十分に中和抗体ができていました。
・・・インド型を含む種々の変異株に十分対応が可能であることが示唆されます。
==>> 日本の厚労省の調査では以下のような違いが出たそうです。
「「ワクチン2回接種」で感染は未接種者の“約17分の1” 厚労省」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210820/k10013214571000.html
「人口10万当たりで新規感染者数を比べると
▽ワクチンを接種していない人は67.6人
▽1回目のみ接種していた人は22.7人
▽2回接種した人は4.0人で
2回接種した人は接種していない人に比べておよそ17分の1になっていた
ということです。」
「また、年代別にみてみますと人口10万当たりの新規感染者数は
65歳未満では
▽接種していない人で69.7人
▽2回接種した人では7.4人
65歳以上では
▽接種していない人で31.1人
▽2回接種した人では2.3人と
なっていました。」
・・・残念ながら、ここでは「重症化・死亡」のデータは見当たりません。
まあ、感染する確率がぐんと下がったんだから、もちろん減少している
でしょうけど・・・
p56
慎重だった私も、副反応のデータを見てワクチン接種を決意
・・・臨床試験の最終結果が発表された2020年11月時点では、私は安全性に
ついてもう一つ確信が持てませんでした。
・・・まったく新しいタイプのmRNAワクチンです。 ・・・それゆえ、信頼できる
データが集まるまでは安全性については慎重に判断したいと考えました。
p58
2021年6月、米国CDCは、約2300万人の副反応データから、「副反応は
発生しても軽いものがほとんどで、重篤な副反応の頻度は従来のワクチンとほぼ
同等」という分析結果を発表しました。 すでに日本でも2021年7月27日
時点で、4759万人がファイザー製あるいはモデルナ製のワクチンを接種していますが、
米国よりも若干アナフィラキシーの発生頻度が高いものの、その頻度はこれまでと
比べてやや高いぐらいという程度です。
p58
私自身ワクチンを打つことへの抵抗感がすっかり消えて接種を受けることにして、
事実、先日、2回の接種を無事終えています。
==>> 免疫学のエキスパートならではの慎重さでしょうか。
7月27日の分析結果をみてから決意したととれますから、6月末に
接種した私のデータも入っているってことですね。
エキスパートなら、私よりも先に打ってちょうだいよ~~~。
p62
アナフィラキシーは接種後15分以内に起こることが多いので、接種のあと15~30
分程度その場にとどまり、安静にして様子を見ます。 万が一、アナフィラキシーショック
が起きても、前述のエピペンと呼ばれる、アドレナリン(エピネフリン)の注射を打つ
ことで速やかに回復しますので、過度に恐れる必要はないでしょう。
==>> ただし、過去にワクチン接種でアナフィラキシーが起きた人など、特定の
リスクがある人は、事前の医師との面談で確認しないといけません。
私が接種した時にも、もちろんそのような確認はありましたし、接種後に
15分間の様子見がありました。
その様子見の待合室には、過去にアナフィラキシーの経験があるので
「もうしばらく様子を見たい」と時間を延ばしている方もいました。
p66
感染がおきないとADEは起きないことから、ADEが実際に起きる可能性はきわめて
低いと思われます。ただ、変異ウイルスによって、今後感染するリスクが高まる可能性
もあります。 ADEについては、科学的に未解明な部分も多いため、今後も警戒が
必要です。
==>> ADEというのは「抗体依存性感染増強」だそうです。
「ワクチン接種でできた抗体が、接種後にウイルス感染したときに、
かえって病態を悪化させてしまうというもの」だそうです。
つまりは、ワクチンによって「悪玉抗体」ができる可能性もあるという
話です。
p66
「有害事象」とは、ワクチン接種が原因かどうかはわからないけれども、ワクチン接種後
に起こった好ましくない事象のことを指します。
つまり、「有害事象」は「副反応」よりも包括的な言葉で、ワクチン接種後に起こった
すべての不都合・不利益なことを指します。
p70
ワクチンのもとになるmRNAからは病原性や感染能力に関わる要素をあらかじめ取り除い
ているため、ワクチン接種で感染することはありません。 しかし、接種直後に、感染時
に見られるような発熱や頭痛、全身の倦怠感などが現れることがあります。これが典型的
な副反応で、自然免疫が働いていることを示します。
自然免疫が作る複数のサイトカインが発熱、頭痛、倦怠感などを起こすのです。
・・・高齢者よりも若年層に副反応が強く現れるのは、高齢者よりも若年層のほうが
免疫応答する力、いわゆる「免疫力」が高いからにほかなりません。
==>> 「有害事象」に関しては、 前回読んだ 長尾和宏著「コロナ禍の9割は情報
災害: withコロナを生き抜く36の知恵」の感想文で、少しだけ触れたこと
ですが、そこでは下のようなことを書きました。
https://sasetamotsubaguio.blogspot.com/2021/08/blog-post_27.html
「p28
厚労省が出している「ワクチン接種後の死者数」というのがあります。
その数字を捉え、そこに「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価
できないもの」というコメントがあることをあげつらう人たちがいます。
実際に因果関係を評価するのはかなり困難であろうと思います。」
・・・これに関して、厚労省のこちらのサイトでも注意書きがあります。
「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.html
「【ご注意ください】
・国内外で、注意深く調査が行われていますが、ワクチン接種が原因で、何ら
かの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません。
・海外の調査によれば、接種を受けた方に、流産は増えていません。
・接種後の死亡と、接種を原因とする死亡は全く意味が異なります。接種後の
死亡にはワクチンとは無関係に発生するものを含むにもかかわらず、誤って、
接種を原因とする死亡として、SNSやビラなどに記載されている例があり
ます。
・厚生労働省では、医師から副反応を疑って報告された事例を、透明性をもって
全て公開しています。詳しくはこのページをご覧ください。」
・・・実際に詳細の「接種後」の死亡者のケースを読んでみると、その中には
接種とはまったく関係がないものまで含まれていることがわかりますし、
かなりの数が持病をもっていた高齢者であることも分かります。
ワクチン接種と副反応、そして免疫力の関係は、この本にはしつこいほど
丁寧に書いてあります。
=== その2 に続きます ===
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