黒木登志夫著「新型コロナの科学」を読む ― 6(続報) ファクターXは HLAーA24で決定?

 

この本の中では、ファクターXについていくつかの候補が議論されています。
その中に下のような記述がありました。
黒木登志夫著「新型コロナの科学」を読む ― 3 ファクターX、日本モデル、民間臨調、CDC、日本のRtは? (sasetamotsubaguio.blogspot.com)

「p156
日本人には、遺伝学的、あるいは生物学的な特性があるかもしれない
HLA(ヒト白血球型抗原)遺伝子群は、その組み合わせが個人間、人種間で違う。
HLAと新型コロナ感受性の関係を検討する必要がある。」




読んだ本の中ではいろいろな仮説が議論されていましたが、
ファクターXはどうやら発見されていたようですので、「続報」ということで
下の記事ごご紹介します。

東大、熊大、宮崎大、東海大の研究でファクターXが発見されたみたいです。
しかし、残念なことにデルタ株はそのHLAによる免疫をかいくぐって日本で拡大するということになりそう。
今からはヨーロッパ並みに感染が拡大すると思った方がよいのでしょう。

プレスリリース 掲載日 令和3年6月16日
ウイルスの感染力を高め、日本人に高頻度な細胞性免疫応答から免れるSARS-CoV-2変異の発見
https://www.amed.go.jp/news/release_20210616.html


発表のポイント
- 新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(注2)の感染受容体結合部位(注3)が、ヒトの細胞性免疫(注4)
   を司る「ヒト白血球抗原(HLA)」(注5)の一種「HLA-A24」によって認識されることを見出した。
- 「懸念すべき変異株」(注6)に認定されている「カリフォルニア株(B.1.427/429系統)」と「インド株
  (B.1.617系統;デルタ型)」に共通するスパイクタンパク質の「L452R変異」が、HLA-A24を介した
    細胞性免疫から逃避することを明らかにした。
- 「L452R変異」は、ウイルスの感染力を増強する効果があることを明らかにした。

「新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の一部が、「HLA-A24」という、日本人に多く見られる型の
細胞性免疫によってきわめて強く認識されることを、免疫学実験によって実証しました。」

「更に免疫学実験により、これらの変異はいずれも、HLA-A24による細胞性免疫から逃避することを実証しました。
これは、「懸念すべき変異株」が、細胞性免疫から逃避することを実証した世界で初めての成果です。」

「細胞性免疫を担うHLA-A24というタイプの白血球抗原は、約60%の日本人が持っています
L452R変異は、日本人に多いHLA-A24による細胞免疫から逃避するだけでなく、ウイルスの感染力を
増強しうる変異であることから、この変異を持つインド株は、日本人あるいは日本社会にとって、
他の変異株よりも危険な変異株である可能性が示唆されます。」

詳しくは上記のリンクでどうぞ。

分かりやすい記事はこちらにありました。

2021.08.18掲載


「論文を執筆したのは、東京大学、熊本大学、東海大学、宮崎大学などの感染症の専門家たち
で、日本語のプレスリリースも日本医療研究開発機構から出ているので、かなり信頼できる
研究と見て良いと思います。
これによると、日本人の6割が去年流行した新型コロナウィルスのスパイクタンパクに反応する
HLA(人白血球抗原)の一種「HLA-A24」を元々持っており、それがファクターXの正体だった
そうです。
これだけでも、素晴らしい価値のある論文だと思いますが、さらにこの論文は、デルタ株と
呼ばれるB.1.617系統が持つスパイクタンパクには「L452R変異」と呼ばれる変異があり、
これが「HLA-A24」による免疫効果を無効にする働きを持っていることが分かったそうです。
つまり、ファクターXはデルタ株から日本人を守ってくれないのです。」


以上。

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