黒木登志夫著「新型コロナの科学」を読む ― 4  想定外、危なかった病院再編、ろくでもない男たち、 女性リーダーのスピーチ、スウェーデン

 

 

黒木登志夫著「新型コロナの科学」を読む ― 4  想定外、危なかった病院再編、ろくでもない男たち、 女性リーダーのスピーチ、スウェーデン

 

 

黒木登志夫著「新型コロナの科学:パンデミック、そして共生の未来へ」を

読んでいます。

 

 


 

 

p173

 

公衆衛生に関わる行政組織もまた、政府の「選択と集中」政策の中で、選択もされず

集中もされず、予算と人員は切られ、縮小の一途をたどっている。 感染症対策の中核

を担う国立感染研、地方衛生研究所、保健所は、すべて縮小されている。

国立感染研の研究評価委員会は、「その重要性から国家公務員削減計画の対象外にすべき」

(2010年)、「感染症の集団発生時にタイムリーなアクションがとれなければ大問題

になり得る」(2013年)、・・・と警鐘を鳴らし続けたが、予算は10年間で約17%

減少し、研究者も18人減の307人となった(2019年度)。

・・・保健所もまた大幅(45%)減少した。 「新型インフルエンザ・・対策報告書」

は全く生かされていなかった。

 

==>> 国立感染症研究所については、下記のサイトで詳しく知ることができます。

      https://www.niid.go.jp/niid/ja/

     「2009 (平成21) 4 月には、インフルエンザウイルスに関する研究の拡大

発展を図る為、インフルエンザウイルス研究センターが発足した。それに伴い

ウイルス第 3 部が改組され、インフルエンザ以外の呼吸器ウイルス感染症を

扱う。」

    

     「(3)感染症のサーベイランス業務と感染症情報の収集・解析・還元と

提供  

我が国のサーベイランス事業の一環として、全国の地方衛生研究所からの

病原体検出報告及び感染症法に基づく定点診療所等からの患者発生状況を

当研究所で集計評価し、その結果を週報 (IDWR) 及び月報 (IASR) として

国民に提供している。更に感染症の流行や集団発生時においては、その疫学

調査、並びに外国の感染症情報機関と情報の交換を行う。」

 

     このサイトの「業務の概要」のところには、

     「当研究所における業務の目的は、感染症を制圧し、国民の保健医療の向上を

図る予防医学の立場から、広く感染症に関する研究を先導的・独創的かつ総合的

に行い、国の保健医療行政の科学的根拠を明らかにし、また、これを支援する

ことにある。」

・・・と書いてありますので、「国の保険医療行政の科学的根拠を明らかに」

することが大きな目的であると読めます。

新型コロナの尾身さんの分科会との関係がよく分かりませんが、

「行政の科学的根拠」が反映されているかについてはかなり疑問に感じます。

少なくとも実動部隊として非常事態に対応できる組織ではなさそうです。

 

 

一方、「地方衛生研究所」という組織は、いろいろと微妙な組織であるようです。

しかし、今回のコロナ禍の中で、一定の役割を担っているようです。

 

「新型コロナで注目集める地方衛生研究所の役割」

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200812-OYTEW585396/

「調氏が強調したのは、保健所と違って、地方衛生研究所の法律の規定がない

ことに伴う課題だ。所長や職員に職種や資格などの規定がなく、所長が医師で

ある地方衛生研究所は約3割程度にとどまる。各自治体での所管も、環境や産業

振興部門の場合があるほか、自治体によって予算や人員の格差も大きい。国から

の指揮命令系統が不明確な点も課題という。」

「2月18日から8月1日までに全国で行われた新型コロナウイルスの

約111万件のPCR検査のうち、民間検査会社が約4割、地方衛生研究所が

3割余りを担い、残りが検疫所や大学、医療機関などで実施された・・・」

 

Wikipediaには以下のような記述があります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A1%9B%E7%94%9F%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

業務は主に試験検査、調査研究、研修指導であり、厚生労働省の調査によれば

それぞれの業務割合は67.8%, 18.0%, 6.9%である。」

「財政余力のない自治体において、研究分野は必要性が低いと判断し大幅削減

した所もあることを示している。」

・・・つまり、研究分野は削減対象となり、PCR検査のような行政検査など

や調査報告などが中心になっているようです。

 

自治体の財政状況悪化による予算削減と業務の重点化、国・大学・民間企業

との業務の住み分けなどにより、いずれの自治体においても近年調査研究業務

が縮小され、最低限必要な試験検査に重点化される傾向がある。」とあるように

背景には財政の問題があるため縮小自体を一方的に批判することはできません

が、「住み分け」をした業務が今回のようなパンデミックに機能的に対応

できるかどうかの検証は必要かと思います。

仕組み作りは基本的には法律によるものでしょうから、国会議員の仕事だと

思います。

 

 

p174

 

さらに、2019年から厚労省は、公立・公的病院を統合し、2020年秋までに

病院を減らす政策を準備していた。 しかし、コロナによる医療崩壊の危機に際し、

さすがの厚労省も、「コロナウイルス感染症拡大防止の観点」から、再編統合の

期限延期通知を出した(3月4日)。

 

==>> これは危ないところでしたね。

     コロナウイルスが政府に対して警鐘を鳴らしたかっこうになりました。

     

こちらのニュースは2019年9月の記事です:

 

424病院は「再編検討を」 厚労省、全国のリスト公表」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50232120W9A920C1MM8000/

「「再編統合について特に議論が必要」と位置づけた。424病院の内訳は公立が

257、公的が167だった。今後、厚労省は地域の医療計画をつくる各都道府県に

対し、地域内の他の病院などと協議しながら209月末までに対応方針を

決めるよう求める。他の病院への統合や病床数の削減、診療機能の縮小などを

25年までに終えるよう要請する。」

 

そして、以下は2020年9月のニュースです。

「「440リスト」対応方針、再編伴う場合の期限も延期、厚労省」

https://www.m3.com/news/open/iryoishin/818556

「厚生労働省は831日付で、再編統合を伴う場合の期限も含めて「改めて

整理する」との医政局長通知を都道府県知事に発出した。」

 

リストの中に感染症指定医療機関などCOVID-19の対応の中心となって

いるものがあることや、患者の受療行動の変化、オンライン診療の特例的拡大

など骨太の方針やリスト公表時点では想定されていなかった要素があり、

地域医療構想でも新興・再興感染症については議論してこなかったことから、

これらを勘案して検討するべきなどの指摘が多数あった。」

 

パンデミックを想定していなかったというのはどういうことですかね?

・・・残念ながら、「m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイト

です。」とあって、詳細は読めませんが、上のような議論の中で、パンデミック

を想定していなかったというのは重要な「想定外」があったという感じです。

政府というのは「想定外」を作るのが上手みたいです。

感染症の歴史を振り返れば、パンデミックは今後も何度でも襲ってくるで

しょうから、根本的な見直しが必要になると思います。

国全体としてパンデミックの際に機能するのかが大事ではないかと思います。

 

 

p174                                                                   

 

新型コロナウイルスによる感染を証明するためには、PCR検査によってウイルスゲノム

を検出するほかなく、したがって、PCR検査なくしてコロナ対策はあり得ない

日本のコロナ対策の最大の問題は、PCR検査を制限したことである。

 

日本のPCR検査は桁外れに少ない。 このため、外国からは日本の感染者数について

疑いの目で見られている。 たとえば4月3日、アメリカ大使館は、在日アメリカ人に

帰国を促す警告を出した。

 

「アメリカ大使館では、CDCと連絡して日本の医療能力を注意深くモニターしている。

広く検査をしないという日本政府の方針の下では、感染の広がりが分からず、次の

数週間以内にどのようないなるか予測できない」というのが理由であった。

 

p176

 

驚いたことに、PCR検査が少ないのは、専門家会議と厚労省の確固たる方針であったのだ。

症状のはっきりした患者と濃厚接触者にPCR検査を行うという方針である。

 

==>> ちなみに、この本に掲載されている棒グラフ「国別PCR検査数」には、

     人口1000人当たりの検査数として、 ニュージーランド 4.41,

     アメリカ 2.46、 ドイツ 1.61,そして日本は 0.18

     なっています。

     

     尾身さんは5月4日の記者会見で、制度的な問題があるのでPCR検査を

     早期に拡充することができないと語ったそうです。

     「制度的に、地方衛生研究所は行政検査が主体。 新しい病原体について

     大量に検査を行うことを想定した体制は整備されていない。」

     ・・・だそうです。

     ここでもまた「想定外」が出てきました。

 

p178

 

PCR検査を受けられない人が続出し、発見が遅れた感染者が出たのも、保健所に

大きな負担をかけたのも、その根っこはこの行政検査という厚労省の通知であった。

 

p179

 

誰が、いつから、どのような理由でPCR検査に反対していたのか。 それを明らかに

したのは民間臨調の報告書である。 信じられないことに、反対したのは他ならぬ

厚労省であった。 それも、2月、ダイアモンド・プリンセス号の時からであった。

 

・・・官邸は全員検査の方針であったが、それに対して厚労省は猛烈に反対したという。

その理由は、検査は症状のある人と濃厚接触者に限られるべきという厚労省の方針に

反するからであった。

 

・・・結局、官邸の主導により、下船する全乗客と乗務員にPCR検査をすることに

なった。 専門家集団である厚労省の専門にとらわれた狭い考え方よりも、官邸の

常識が勝ったのだ。

 

==>> この本では、この後も、PCR検査がらみでの厚労省の秘密文書やら

     検査権・既得権益、他の人の意見を聞かない医系技官の問題などを

     いろいろと書いてあります。

     そっちの問題点を詳しく知りたいかたは、ぜひこの本を買ってお読み

     ください。

 

 

p182

 

内閣府のなかでも、首相に一番近いのは「内閣総理大臣補佐官」といわれる数人の

政治家、官僚たちである。 彼らは、首相に直接進言することができる立場にいる。

少なくとも二つの悪名高い政策、一斉休校とアベノマスクは、首相補佐官から出された

ものであることが明らかになっている。

 

・・・一斉休校は、文科省、専門家の意見を聞くことなく、2月27日に突然発表

された。 文科省がそれを知ったのは、当日の午前11時8分、・・・・

 

首相官邸に呼び出された萩生田文科大臣と藤原文科時間は、・・安倍首相に述べ、

「本当にやるのですか」と問い詰めたという。

 

・・・この超法規的政策を進言したのが、経産省出身の今井尚哉補佐官であった。

 

==>> 一斉休校に関しては、国民にとってはそれこそ「想定外」の驚きの

     政策であったと思います。

     こちらのサイトの記事がその後の報告としては妥当かと思います。

 

     「政府関係者83人に本音インタビュー。

新型コロナ対応の民間臨調が厳しい検証報告」

     https://www.j-cast.com/tv/2020/10/09396296.html?p=all

     「227日時点の感染者は全国で191人、なお29県でゼロだった。

専門家会議関係者は「子どもは感染源にほとんどなっていない。一斉休校は

疫学的にはほとんど意味がなかった」とし、報告書は「教育現場に混乱をもた

らした」とした。」

 

「「アベノマスク」は41日から全戸に配布されたが、官邸スタッフは「総理

室の一部が突っ走った。あれは失敗」と言った。」

 

民間臨調の報告書については、こちらのサイトでどうぞ。

記者会見の動画もあります。

https://apinitiative.org/project/covid19/

 

上のサイトの中の「報告書のポイント」を少し抜き書きします。

 

「今回のパンデミックの威力は政府の想定外であり、「最悪のシナリオ」を含め、

あらゆるパターンの想定を怠っていた。」

「「総力戦でやらざるをえなかった」と菅官房長官が振り返るように、前例や

マニュアルがない中、官邸の司令塔機能の構築は試行錯誤の連続であった。」

 

「実は当時、官邸の一部も欧州からの流入を懸念していたが、一斉休校要請に

対する世論の反発と批判の大きさから消耗していたこともあり十分な指導力

を発揮することができなかった。」

 

官邸の戦いには、感染症拡大と経済社会の維持のほか、都道府県知事との権限

調整をめぐる戦いもあった。東京都の休業要請など、より強い、積極的な措置を

志向する地方自治体のリーダー間の競争を背景に、中央政府を中心とした調整

は難航した。」

 

「危機下の感染拡大防止と経済・生活の維持の「両立」の最適解を求めて、官邸

と専門家会議は時に衝突し、双方の「交渉」(専門家の一人の表現)を余儀なく

された。

 

「アベノマスク」は、厚労省や経産省との十分な事前調整なしに首相周辺主導

で決定された政策であった。背景にあったのは、使い捨てマスクの需給の逼迫。

値崩れ効果を狙ったが、緊急経済対策や給付金に先立ち、政府の国民への最初の

支援が布マスク2枚といった印象を国民に与え、政策コミュニケーションとし

ては問題の多い施策だった。」

 

「パンデミックへの備えを怠ったため、政府はPCR等検査を広範に実施する

ことができなかった。そのことに対する国民の不安と不満、そして不信が募った。

厚労省のこうした姿勢は世論の強い批判と世界の対日不信を懸念する官邸との

間に緊張をもたらした。」

 

「専門家たちは「3密」の発見などを通じて感染拡大抑止の対策立案の際の

リスク分析・評価などの科学的助言の面で大きな役割を果たした。しかし、対策・

政策の発信までも専門家が担う状態が生まれた。ある意味、彼らは「官邸に利用

された」(厚労省関係者)のだが、彼らの役割と影響力が高まると、今度は

「ありがた迷惑」(官邸スタッフ)な存在とみられるようにもなった。」

 

・・・これらの報告を読んでいると、日本には如何に司令塔がないのかと

いうことが分かってきます。

少なくとも危機管理能力が国全体の仕組みとして作られていないのは

明らかになったように見えます。

こういうことを考えていると、日本の国防は大丈夫なのかと思ってしまいます。

 

 

p184

 

介護施設: 厚労省福祉関係三局は、いち早く介護施設に注意を呼びかけ、介護施設も

それに応えた。 日本の死亡者が少ないのは、介護施設の努力によるところが大きい

 

 

p186

 

リスクコミュニケーション: 現状を科学的に分かりやすく説明し、質問に応えるリスク

コミュニケーションがなかった。 国民はテレビの情報番組に頼らざるを得なかった。

 

==>> 上記二つは、日本のコロナ対応におけるベスト10とワースト10の中から

     私が選んだ二つです。

     日本と同じレベルの緩い制限しかしなかったスウェーデンでは、集団免疫を

     目指したとはいえ、死亡者が介護施設などの高齢者に集中していたそうです。

     

     「スウェーデンの対新型コロナウイルス政策」

https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3743

「「集団免疫獲得を目指している」と非難されることが多かったが、

スウェーデンが集団免疫獲得を目指したことはない。」

「実際には、数々の規制があり、国民はその規制に従って行動したため、部分的

ロックダウンであると言える。現在、スウェーデンの人口10万人あたりの死亡

者数は、世界でも13位程度と高い。死亡者数が増えてしまった背景には、

スウェーデンの介護システムが抱えていた脆弱性があり、今後、調査の上、改善

されることになっている。」

 

「首都ストックホルムでは、最も多くの感染者および犠牲者を出してきた。

ストックホルム圏の大病院は役割を分担し、新型コロナウイルス治療を担当

する病院が決められた。新型コロナウイルス治療を担当しない大病院へは、

担当する大病院から通常診療の患者が委託された。」

 

「スウェーデンでは一般に国民の政治家や専門家グループへの信頼は厚い。

また、憲法により保証された省庁などの専門家グループの独立性は非常に高い

新型コロナウイルス感染対策に関しては、公衆衛生庁の専門家が指揮を取るこ

とが感染症法で定められており、政治の介入は許されない。」

 

・・・スウェーデンは「集団免疫獲得を目指したことはない」というこの報告

には驚きました。 私はすっかりメディアの報道に騙されていました。

いずれにせよ、スウェーデンと日本はほぼ同等レベルの制限でいままで

やってきているというオックスフォード大学のデータにありましたので、

特に病院の体制などについては学ぶべきところは多いのではないかと

思います。

その為には、ちまちました修正ではなく、考え方の根本から国の安全を

どう守っていくかの思想の改革が必要なのかもしれません。

 

 

p189

 

アメリカでは、新型コロナ感染に関しても、人種、民族間の差が大きい。・・・

黒人の感染率は白人の約3倍、致死率は約2倍高い。 一番差の大きい年齢層は、

35―44歳のいわゆる働き盛りであり、黒人は白人の10倍、ヒスパニックは8倍

にも達する。 何故、このような大きな差があるのだろうか。 CDCはその要因として

住環境、労働環境、健康環境を挙げている。 ・・・医療保険を利用できないことが

大きな原因であることは容易に想像できる。

 

 

p191

 

(ブラジルの)ボルソナーロは、新型コロナを「ただの風邪」と言い、マスクを拒否し、

ステイ・ホームを主張する健康大臣をクビにした。 ドランプ大統領も、新型コロナを

軽視し、エクスパートを非難した。 CDCは骨抜きにされ、NIHは方針決定から

外され、FDAは大統領の要求に応えるように圧力を受けた。 科学予算は削られた。

その上、消毒薬や漂白剤の服用、紫外線の照射を勧め、科学的に無知であることを国民

に知らせることになった。 マスクの着用、握手の禁止のような個人レベルの

予防法を馬鹿にしている。 イラン、メキシコ、ハンガリー、トルコ、フィリピンの

指導者も同じようなものである

 

==>> アメリカとブラジルはおっしゃるとおりでお話になりません。

     しかし、私が過去15年間住んできたフィリピンに関しては、同じだと

     いうのはちょっと違うでしょと言っておきます。

     ジャーナリズムに圧力をかけているという話はあって、かなり独裁ではあり

     ますが、国民の間での人気は相変わらずです。

     上に既に書きましたように、2020年3月から2021年8月の現在に

     至るまで、日本では考えられないような厳しいロックダウンが続いていますし、

     フェイスシールドやマスクを着用していないと逮捕さえあります。

     たまに警察に射殺されるという事件まで発生しているほどです。

     大統領令や地方自治体からの指示の情報は、SNSなどでも頻繁に流れています。

     

 

p195

 

コロナフリー宣言でも、アーダーンは、気を抜かなかった。

「これは再度強調したいのですが、ニュージーランドで再び患者が発生することは、ほぼ

確実です。 しかし、それはわたしたちが失敗したことを示すわけではありません。

それがこのウイルスの現実なのです。 こうした事態が実際に起きた場合に備えて、

準備を怠らないようにしなければなりません。 そして、わたしたちは確実に準備が

整っているのです。」

 

p198

 

物理学者であったメルケル首相は、科学を信頼し、・・・・

 

コロナウイルスに対する治療法もワクチンもまだありません。 この状況が続く限り、

唯一できることは、ウイルスの拡散スピードを緩和し、数カ月にわたって引き延ばす

ことで時間を稼ぐことです。 ・・・これが私たちのすべての行動の指針です。

それは、研究者がクスリとワクチンを開発するための時間です。 また、発症した人が

できる限りベストな条件で治療を受けられるようにするための時間でもあります。

 

・・・旅行および移動の自由が苦労して勝ち取った権利であることを実感している私の

ようなものにとっては、このような制限は絶対的に必要な場合のみ正当化されるものです。

そうしたことは民主主義社会において決して軽々しく決められるべきではなく、一時的

にしか許されません。 しかし、それは今、命を救うために不可欠なのです。」

 

==>> ああ、なんと素晴らしいスピーチなんでしょうか。

     私はこのようなスピーチを日本の政治家から聞いたことがありません。

     残念なことです。

     日本の政治的リーダーにも、専門家を信頼し、機能させ、政治哲学を

     国民に知らしめる存在であって欲しい。

 

 

== その5 に続きます ==

黒木登志夫著「新型コロナの科学」を読む ― 5 「菌は愛より強し」、PCR検査、スウェーデンの終末期医療とトリアージ (sasetamotsubaguio.blogspot.com)








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