長尾和宏著「コロナ禍の9割は情報災害」を読む ― 3  デルタ株で消えたファクターX? 「もともと体が弱っていた方でしょう」??

 

長尾和宏著「コロナ禍の9割は情報災害」を読む ― 3  デルタ株で消えたファクターX? 「もともと体が弱っていた方でしょう」??

  

長尾和宏著「コロナ禍の9割は情報災害: withコロナを生き抜く36の知恵」

を読んでいます。

 

<<最初にお断り: この本は2020年12月に出版された本です>>  



 

 

p132

 

日本はというと、2019年には約1万4000人の新たな結核患者が報告され、

2000人以上が結核で亡くなっています。 実は今でも一日当たり5,6人が結核で

命を落としていて、新型コロナと同程度か、それ以上の人が亡くなっているのです。

 

・・・日本はいまだに結核の「中まん延国」です。

 

==>> この死者の数については、既に上で述べたように、大きく様変わりして

     いますので、結核の話は比較にならないようです。

 

p134

 

結核は、主に肺の病気です。 新型コロナも肺で炎症を起こします。 BCGとコロナ

の関係はまだ仮説の段階ですが、BCGによって肺の自然免疫がトレーニングされていた

ことが、今回の新型コロナでも一役買ったのではないか、と私は考えています。

結核がまだまん延していたことが、災い転じて福となったわけです。

 

==>> このファクターX=BCG説は、交差免疫の話も含めて、こちらのサイトの

     順天堂大学医学部の小林弘幸教授の考え方に近いようです。   

     ただし、この記事は2020年12月のものですので、長尾氏のこの本が

     出版された時期とほぼ同じ頃と考えてよいかと思います。

 

     https://news.livedoor.com/article/detail/19372549/

     「京都大学の山中伸弥教授は「ファクターX」と名づけた。その正体はなにか。

順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「さまざまな研究からファクターX2

に絞られた」という--。」

「示唆的なBCGワクチン」と「交差免疫」

BCGワクチンによる新型コロナウイルスの感染・重症化の抑制には懐疑論も

ありますが、実際に接種を行っている国では感染者数・死亡者数ともに驚くほど

はっきりと抑えられているのが事実です。」

BCGが新型コロナウイルスを抑えるメカニズムは明確になっていません。

しかし、以前からBCGが免疫力を強化し、とくに乳幼児では結核以外の病気に

対する耐性を高め、死亡率を半分にしていることがあきらかになっています。

また高齢者に対しても、呼吸器への感染を減少させる効果があることが報告

されています。」

 

「もうひとつのアジア圏におけるファクターXは、「交差免疫」です。

アジア圏では、過去にも別種のコロナウイルスに感染した経験のある人が多く、

新型コロナウイルスに対して獲得免疫が機能したのではないか、と考えられて

います。

このように、近縁のウイルスで得た獲得免疫が機能することを「交差免疫」

いいます。近年に確認されたコロナウイルスは7種類あります。」

「まだまだ検証段階ではありますが、これが実証されれば、PCR検査や抗体

検査だけではなく、T細胞の検査によって感染リスクを測ることが、新型コロナ

ウイルス感染症の拡大抑止に重要な役割を果たすでしょう。」

 

・・・・こういう二つの仮説が当たっていることを願うのみですが、

今のところ実験で確証が得られたのは、私が探した限りではこちらの研究発表

のみです。 ただし、このHLA-A24が全体の中でどの程度の効果が

あったのかは不明です。

https://sasetamotsubaguio.blogspot.com/2021/08/hlaa.html

「プレスリリース 掲載日 令和3616

ウイルスの感染力を高め、日本人に高頻度な細胞性免疫応答から免れる

SARS-CoV-2変異の発見

発表のポイント

- 新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(注2)の感染受容体結合部位

(注3)が、ヒトの細胞性免疫(注4)を司る「ヒト白血球抗原(HLA)」(注5

の一種「HLA-A24」によって認識されることを見出した。

- 「懸念すべき変異株」(注6)に認定されている「カリフォルニア株(B.1.427/

  B.1.617系統;デルタ型)」に共通するスパイクタンパク質の「L452R変異」

が、HLA-A24を介した細胞性免疫から逃避することを明らかにした。

- L452R変異」は、ウイルスの感染力を増強する効果があることを明らかに

した。」

東大、熊大、宮崎大、東海大の研究でファクターXが発見されたみたいです。

しかし、残念なことにデルタ株はそのHLAによる免疫をかいくぐって日本

で拡大するということになりそう。

 

 

p137

 

ある遺伝子を持っていると、新型コロナに感染したときに重症化しやすいことがわかった

のです。 その遺伝子は、あのネアンデルタール人に由来するものだそうで、日本を

はじめとした東アジアではその遺伝子を持つ人はほとんどいないそうです。

 

p138

 

BCGや交差免疫、肥満、そして遺伝による人種差――。 いずれも仮説段階ですが、

おそらくこれらが複合的にかかわっているのだと思います。 なかでもいちばん大きな

要素が遺伝でしょう。 私はこの遺伝子説を知り、とても腑に落ちました。

 

==>> いずれも仮説・・・・状況証拠ということではないかと思います。

     その中で一番はっきりと科学的に実証されたのは、ファクターXの候補にも

     上がっていなかった「ヒト白血球抗原(HLA)」の一種「HLA-A24でした。

     日本人の60%がもっているというものです。

     しかし、それもデルタ株に突破されてしまったということです。

 

     下のサイトは2020116日改定とありますので、この本よりも一か月ほど

     前に出されたものです。

     熊本大学 大学院生命科学研究部 大学院医学教育部 医学部医学科

免疫学講座 が掲載しているものです。

]

「新型コロナウイルスのファクターXとは何か?

https://www.immunology-kumamoto.com/%E5%85%8D%E7%96%AB%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%98%94%E8%A9%B1/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BCx/

「可能性4として一時期にBCG仮説がテレビなどでも話題となりました。

これはBCGワクチン接種を子供の頃に受けている国では新型コロナウイルス

の致死率が低いことに由来します。しかし、この可能性はほとんどないと個人的

に思います。また日本ワクチン学会ではBCGが新型コロナウイルスに対して

有効かどうかについては科学的に明らかになっていない旨の声明をだしてい

ます。BCGが有効かもしれないとの根拠のない噂話によって幼い子供が

BCGワクチンを受けることができない事態になれば深刻な問題となります。

 

 このBCGの話がでた根底には自然免疫記憶という現象があります。BCG

ワクチンはもともと結核の予防ワクチンです。ところが最近の研究から

このBCGワクチンが自然免疫記憶を誘導することがわかりました。自然免疫

記憶とは、一度ある感染症に感染するとしばらくの間は強い自然免疫応答が

生じることです。そして、この自然免疫記憶は従来の免疫記憶とは異なり抗原

非依存性という特徴をもっています。」

 

BCGワクチンは結核を予防するのですが、結核だけでなくインフルエンザの

感染も予防するという結果が動物実験で報告されています。

 ただし、この自然免疫記憶は一年しか持たないことが知られています。つまり

非常に忘れやすい記憶なのです。

 

このような記憶を担う細胞の種類により、子供の頃に受けたBCGワクチンが

コロナウイルスに予防的に働くことは現代の免疫学ではあり得ない現象となり

ます(ただし、未知のメカニズムで自然免疫記憶が受け継がれている可能性は

否定できません)。」

 

・・・著者の長尾クリニックは、小児科はありませんが結核指定医療機関には

なっていますので、日本ワクチン学会が出した声明を知っていてもよさそうな

ものですが・・・・

いずれにせよ、長尾医師よりも熊本大学医学部の方が、かなり慎重にこの

噂を扱っていると思います。

 

 

p140

 

こうしたことをふまえて、私が当初から主張しているのが、新型コロナの位置づけを

「二類感染症相当」から「五類感染症」にそろそろ落としてほしいということ。

 

p141

 

指定感染症は、新しく登場した感染症を仮置きしておくためのもの。 新たに登場した

感染症はその性格がよく分からないので、とりあえず指定感染症に入れておいて、

1~3類感染症に対して行える措置(入院や就業制限など)のなかから、必要なものを

ピックアップして対策をとるのです。

 

p144

 

新型コロナは一例残さず保健所が管理するというのが、当初の基本的な方針だった

わけです。

 

・・・でも、クラスターが追えなくなり、市中感染になってくると、このガチガチの

対応がかえって現場の医者たちの柔軟な対応を邪魔し、混乱を招いてしまったのです。

 

p145

 

もしも新型コロナがインフルエンザと同じ五類感染症扱いになっていたら、保健所の

お伺いを立てる必要もなく、どこでも検査ができるので、最初の医者の診察の段階で

検査ができていたでしょう。

 

かかりつけ医が柔軟に判断できる仕組みになっていたら、もっと早く、救急搬送される

ほど重症化する前に治療に移れていたのではないかと悔やまれます

 

==>> 私にはこの二類相当と五類での指定によって、具体的に臨床の現場が

     どうなるのかがイメージできませんので、なんともコメントはできません。

     しかし、保健所がほとんど対応が出来ないような非常事態になっていることは

     マスコミでも報道されていますし、自宅待機、宿泊療養などの人数が

     毎日のようにニュースで流れているので、今感染しても入院できないんだな

     というのは分かります。

     そういうことが、どちらに指定することによって、どのように変わるのか、

     また今デルタ株が蔓延している状況でどちらが良いのかが知りたいところです。

 

 

p148

 

結局、問題なのはコロナに感染することではなく、コロナで重症化することです。

重症化して命を奪われないようにすることが大事。

 

・・・重症化を予測できるマーカー(重症化マーカー)がいくつもわかってきたので、

ハイリスクのため一旦は入院となった方も、血液検査や尿検査などで血栓ができそうか

どうかなどを調べて、重症化の兆候がなければすぐに退院するようになっています。

私のクリニックでPCR陽性となって入院になった方も、重症化マーカーに引っかから

なければ1日だけ入院してすぐに帰ってきています。

 

==>> この長尾クリニックでは発熱外来は受け入れているようですので、PCR検査

     はやっているようです。 その後提携している病院に入院という流れなの

     でしょう。 

     しかし、従来型と今のデルタ株では、まったく別の病気と言われるぐらいに

     変異が進んでいるようです。

 

     下のニュースは、2021年8月23日のデルタ株に関するニュースです。

 

     「デルタ株“これまでの治療法が通用しない”~密着・重症者病棟」

     https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210823/k10013213611000.html

     「デルタ株の脅威がいま医療現場を直撃しています。基礎疾患がない20代が

急激に重症化、これまでの治療法も通用しなくなっています。」

「発症から4日後の30代の男性の肺の画像。炎症を示す、すりガラス状の白い

影が見えます。わずか4日で自力での呼吸が難しくなり、人工呼吸器とECMO

を導入しました。」

 

「“第5は数週間前まではアルファ株による患者が大半でした。しかし今、

重症者のほぼ全員がデルタ株の感染患者に入れ替わっています。ほぼ全例が

65歳以下の患者で、20代から50代が約9割の患者構成となっています。

デルタ株の感染力がいかに高く、若年層は感染しにくいという今までの認識が

間違っていることがうかがわれます」

 

     「レムデシビルやステロイド剤などの投薬。こうした治療に、効果が見られにく

くなっているというのです。」

「(ベッドが)空いたところに30分ぐらいで、すぐまたという情報が入って

くる。非常に厳しいというか、崩壊してしまっている

救える命を救うためには、回復の見込みの低い患者を他の病院に転院して

もらうことまで検討せざるをえないのではないか…。」

 

・・・つまり、デルタ株によって、様相は一変し、まさに医療崩壊が進み、

いまやトリアージが始まったということのようです。

 

このような今の事態を、この本の著者はどのようにみているのでしょうか。

二類か五類かという問題を含めて。

 

 

p147

 

この半年の学びを生かして医療の流れは確実にスムーズになっています。

・・・もともと毎日3700人もの人がなくなっているのです。 ・・・当たり前ですが、

病気は新型コロナだけではありません。 今、コロナで亡くなっている方は、もともと

体が弱っていた方でしょう。

 

==>> この部分は、長尾医師の本音が出ているようにも読めます。

     元々基礎疾患がある高齢者が自然免疫がなくてコロナに罹って重症化したり

     死亡したりしているのだから、病気全体を考えればしょうがないじゃないか

     と読めます。

     私は、そのことに反対しようとは思いません。スウェーデンの医療制度は

     「助かる見込みのある人を優先的に助ける」というトリアージの仕組みに

     なっているという理解ですので、それを日本も取り入れて良いのではないか

     と思っているからです。

     

     しかし、デルタ株の現状は事情が違います。

     若い人たち、基礎疾患がないような人たちにまで、デルタ株は襲い掛かって

     いるのです。 そして医療崩壊、トリアージが始まった。

     98%は自然免疫があるから大丈夫と言っている長尾医師はどう応えるのか。

     それが知りたいと思います。

     是非、2021年版を出版していただきたい。

 

p150

 

「コロナ怖い怖い病」がまだまだまん延しているので、「あそこはコロナを診ているらしい」

と、受診控えが起こってしまうのです。 それで悩んでいる開業医は多く、「地域の人の

ためにPCR検査もしたいけれど、患者さんが来なくなったらどうしよう」と、ジレンマ

を抱えています。

 

==>> これは早く「五類」にして欲しいという文脈の中で書かれていることです。

     しかし、五類になって、今の医療崩壊の現状の中で、一般の町医者が

     それぞれのクリニックでコロナ患者を診察するようになったら、

     どういうことになるのか・・・私には想像できません。

     少なくとも、中等症でも重症でも、クリニックから救急車で運ぶ先は

     ないんじゃないかと思います。

     最近は、やっと野戦病院みたいなのを作ろうとする動きがあるようですが。

 

p156

 

さすがに「すべての病気は歩くだけで治る」とは言えません。それは言い過ぎ。

なぜ9割なのかというと、残りの1割程度は、やっぱり薬のサポートも必要だからです。

 

==>> やっと出てきました。 そういうのがフツーです。

     98%は自然免疫で大丈夫でしたが、ここでは9割となっています。

     私が知りたいのはその1割は新型コロナウイルスにどう立ち向かうべきかと

     いう専門的なアドバイスです。

 

p164

 

多くの医者はそれまでの経験から、認知症に薬があまり効かないことを知っています

でも、医者というのは、薬があると使いたくなるのです。

私は、認知症の予防も治療も、歩くことが一番だと思っています。

もっといえば、「ながら歩き」です。 ・・・・頭の体操をしながら運動をするだけで

認知機能が改善することが証明されているからです。

 

==>> 薬を出来るだけ使わないようにしようという長尾医師の考え方には賛成です。

 

この話、「ながら歩き」については、私もNHKのテレビ番組でみました。

     おそらく薬よりも予防をすることの方が良いと私も思います。

     そのために、ということでもないのですが、 週に一度は1万歩前後の散歩

     をします。散歩の為の散歩ではなく、道すがらの花や鳥や風景を撮るのが

     主な理由です。 私は健康のため、運動のために運動をすることが嫌いな

     天邪鬼ですから。

     そして、もうひとつは、このブログです。

     本を読んで、その抜き書きをして、脳を使い考えをまとめながら、ワードに

キーボードを叩きながら打ち込むということが、たぶん認知症の予防に

     なるんじゃないかなと勝手に思っているわけです。

 

p177

 

一日の歩数が多いほうが、いろいろな病気の予防効果は高まるものの、8000歩で

頭打ちになるといわれているのです。 一日8000歩以上あるいても、健康効果は

それ以上あまり高まらないので、かえって活性酸素を増やしたり、膝や腰を痛めたり、

逆効果になりかねません。

何事も「適度」が大事。

 

p180

 

病気や骨折でほんの1週間入院しただけで、70歳以上の方はみんなヨチヨチ歩き

なってしまいます。 入院のきっかけとなった病気や骨折は治ったけれど寝たきりに

なったという人が、大勢在宅医療に回ってきます。

 

 

p185

 

心が疲れたときには、何も考えずにただ歩きましょう

歩きながら瞑想(マインドフルネス)をするのも良いと思います。 歩く瞑想です。

・・・ただ歩くことに集中する・・・・

 

==>> はい、分かりました。 一日8千歩で十分なわけですね。

     もっとも私の場合は、ノロノロとあるいて、写真を撮りながらなんで、

     それも一週間に一度なんで、1~1.5万歩ぐらいは歩きたいと思いますけど。

     歩くことに集中しすぎると車にぶつかりそうですが・・・

 

 

p201

 

私は、夜の街も、夜の街に行く人も「そういうものだ」とわかっていれば良いじゃないか

と思っています。 人が集まること自体がリスクなのだから、夜の街は、たとえば

屋外を散歩するよりは危険でしょう。 でも、たとえ感染したとしても、悪いことでは

ありません。 外出したらどこかで風邪をもらっちゃった、というふうにみんなの意識が

変ったら良いですね。

 

==>> 何度も繰り返しますが、デルタ株で医療崩壊が起こっている中では、

     この発言はなかなか受け入れるのは難しいですね。

     「感染したとしても、悪いことではない」というのは何にとって悪いこと

     ではないんでしょうか。 

     この前後には、「人と人の間で生きるのが人間ですから、家庭にしても、

     家庭内感染を防ぐために別居するなんて人もいましたが、ゼロリスクを求めて

     も仕方ありません。」という文脈の中で書かれています。

 

     ちなみに、長尾クリニックのブログを拝見したところ、この院長は

     ちゃんとワクチンを接種したそうです。

     クリニックに来る患者さんたちにコロナをうつさないようにするためだとか。

     そうならそうと、私のような2%の人はワクチンを打ちなさいと言ってくだ

さいよ。 自然免疫じゃ大丈夫じゃないんだから。

 

p202

 

国が「Go Toトラベル」キャンペーンで後押ししているように、国内旅行は安全です。

どんどん行っていただければと思います。

 

海外旅行はというと、安心して行けるようになるまでに3年はかかるのではないで

しょうか。 人の恐怖の記憶は簡単には消えません。

 

==>> 私はこのキャンペーンに関しては、全くの愚策だと思っています。

     緊急事態宣言や蔓延防止が解除されれば、だれだってウズウズしているんです

     から、お金をもらわなくっても旅行にも食事にも行きます。

     そんなお金があるんなら、むりやりに自粛をさせられたお店や仕事を失った

     人たちにすぐにでも給付金を出して欲しいです。

     海外については3年はかかるというのは、私もそう予測しています。

     フィリピンのバギオ市に早く戻りたいのは山々なんですが、なにせ

     フィリピン全土ですでに1年半もロックダウンが続いていますから。

 

p202

 

日本人は重症化しにくいことがわかってきたとはいえ、欧米など海外で流行している

ウイルスとの相性はどうなのかは、まだわかりません。 だから、万が一ということを

考えると、まだ怖い。

 

==>> やっとこの先生の本音がでました。 そしてその「怖い」デルタ株が今

     インドから日本にやってきたということになります。

 

p204

 

実際に新型コロナの患者さんたちを直接診ている私たち医者は、自分自身の体験から

日本人にとって新型コロナはそんなに怖い病気ではないとわかっていますが、

一般の方のなかにはまだまだ怖いイメージがぬぐえない人がたくさんいるようです。

 

==>> この「私たち医者」というのはどの範囲の医者のことを言っているのでしょう

     すでにご紹介した「臨床の砦」では、最先端の重症者を扱っていた

     病院での緊張感が伝わってきました。

     そして、その本には「この戦、負けますね」とも書いてありました

     決死の覚悟で、患者の治療にあたっている医療者と、この長尾氏との間には

     深い溝が横たわっているとしか思えません。

     http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2021/05/post-ddcf4c.html

 

 

さて、一冊読み終わりました。

 

大雑把に私の感想をまとめますと、以下のようなことになります。

 

1. この本は、新型コロナウイルスに関する本ではなく、自然免疫を保つための

養生訓の本である。 歩くことが一番自然免疫を保つことにつながる。

2. この日本には、自然免疫で大丈夫な人たちが98%いるから、不安を持たなくてよい

としているが、 残りの2%はどうしたらいいのかには触れていない

3. タイトルに「情報災害」と書いてあることが、新型コロナウイルスそのものについて

書いた本ではないことを表している。

4. 「情報災害」と書いてあるのは、98%の大丈夫な人たちまでもが、ステイホームなど

をすることで、かえって身心を壊していることに対する警鐘である。

5. この本は2020年12月に出版された本なので、2021年に入っての、特に

デルタ株が蔓延している8月の医療崩壊についての予測が出来ていない。

出来ていないというよりも、全く逆の予測をしている

6. 著者は長尾クリニックという地域医療のクリニックだが、「臨床の砦」で紹介された

中等症、重症者を受け入れている病院の悲惨な医療現場の緊張感はまったく感じら

れない。

7. この長尾クリニックの院長の考え方は、おそらくスウェーデンの医療制度に馴染む

考えかたではないかと思う。もしそうであれば、トリアージを含む根本的な

医療制度改革のために旗を振って欲しい。

 

以上で終わります。

 

 

=== 完 ===

 

 

 

 

 

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