理論物理学vs仏教哲学 「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読む 1 我々は完全調和が破れた世界に住んでいる

 

理論物理学vs仏教哲学 「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読む 1 我々は完全調和が破れた世界に住んでいる

 



 

稲葉耶季vs保江邦夫の対談「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読んでいます。

 

この本は、仏教と最先端物理学との関係を書いた本がないかと検索して

いたところたまたま引っかかってきた本です。

特に密教と宇宙物理学や素粒子との類似性あるいは関係性が知りたくて

見つけました。

 

稲葉耶季さんは、キリスト教会の家に生まれ、東大をでて、都庁につとめ、

その後裁判官を長く務め、今は大学教授や弁護士、禅宗の僧侶をやっている

そうです。

 

片や、保江邦夫さんは、東北大学、京都大学、名古屋大学を出て、スイスの

大学で研究、今は大学院で理論物理学を教えているようです。

ノーベル賞を受賞した湯川秀樹が提唱していた「素領域理論」を題材として

修士論文を提出したという湯川秀樹さんの愛弟子でもあるそうです。

 

このお二人の対談は、稲葉さんが質問して、保江さんが物理学の視点から

答えるという内容になっています。

 

一読しての大雑把な感想としては、前半は腑に落ちる内容で、後半は

ぶっ飛んでるという感想です。

 

では、例によって面白かった、気になった部分を引用しながら、勝手な

コメントを書いていきます。

 

=====

 

p26

 

この宇宙が、何もないところからポコンと生まれたという本当の

意味は、完全調和だった世界の一部が、南部先生の発見した理論に

よって自発的に破れたということ。 その破れたところに、いま

われわれはいるんですよ。 われわれは「破れた世界の住人」です

 

調和が破れている部分を「宇宙」と呼ぶと思ってください。

 

「ダークマター(暗黒物質=宇宙の質量の大半を占めるのに観測されない

未知の物質)」とかいって、宇宙の中の9割近い物質があるはずなのに、

われわれは全然突き止められていません。

 

==>> 「破れ」というのが何なのか、ぴんときませんが、

     こちらでご覧ください。

     https://kotobank.jp/word/%E5%AF%BE%E7%A7%B0%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%A0%B4%E3%82%8C-1612389

     「たとえば水分子が低温では氷のような結晶状態(固体)

であり、0℃で融解して水(液体)になり、100℃で蒸発して

水蒸気(気体)になるような状況である。この相転移は強磁性体

での自発磁化の破れでも起こる。強磁性体の自発磁化とは、

外部から磁場をかけなくても内部の磁気モーメントがそろった

状態(対称性が高い)である(その状態がエネルギーの低い

基底状態になっている)。この状態で温度が上がると、各磁気

モーメントがかってな方向を向き、全体の磁気がなくなる。

このような状況を自発的対称性の破れとよぶ。この自発的

対称性の破れの考え方を素粒子に適用した南部陽一郎が

ノーベル賞を受賞した。」

「例えば、水の分子は、水蒸気の状態では、自由な方向に運動して

いるので、どの方向から見ても無秩序に見えるという意味で

対称性が保たれている。しかし、温度を下げて氷の状態にすると、

分子が格子状に整列するため、見る方向によって構造の見え方が

異なる。つまり、「どの方向から見ても同じように見える」という

対称性が破れた状態になる。

 

・・・まあ、いずれにせよ、完全調和していたビッグバン以前の

状態に、この破れが発生して、その破れた部分が我々の宇宙に

なったということのようです。

 

 

p30

 

木内鶴彦さん(3度の死亡体験を持つ彗星探索家)という人がいる

でしょ。・・・・・そもそも彼が教えてくれたんです。

 

彼は、これまで都合3回死んで生き返っています。「臨死体験」というのは

死の間際までいって帰ってくる体験で、実は僕も2003年に2分30秒

経験しています。 大腸ガンの手術中、心臓が止まっていた。

 

==>> いきなりびっくりな話になってきました。

     木内鶴彦さんについては、wikipediaでどうぞ。

     https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E5%86%85%E9%B6%B4%E5%BD%A6

 

ついでにですが、私がちょっと前に意識についていろいろと

本を読んだり、インターネットで検索したんですが、その時に

発見したのがこちらです。

 

■英化学者「意識は宇宙に偏在する」

     https://tocana.jp/2017/07/post_13855_entry.html

     「我々一人一人は人間として地球上に誕生する前から存在し

ました。我々は純粋な意識ですが、現在は身体的・物理的

レベルで存在しているということです

     「ハミルトン博士は、意識は量子レベルで時空を超えて存在する

とも語っている。キリスト教などにおいては、死後、人間の

「魂」は天国や地獄に行くとされているが、博士の考えに

よれば、天国も地獄も存在せず、魂はこの世界に留まり続ける

ということだろう。これは、「エネルギーは創造されもしないし、

破壊されもしない。ある形から別の形へ変わるだけである」と

語ったアインシュタインの物理学とも通底するように思われる。」

 

・・・一応、上のような見解もあるということを心の隅において

この本を読むと、通底するものが見えてくるかもしれません。

 

p39

 

放射性物質をまき散らし、その残骸が再び重力で引き合って集まって

固まったのが、第二世代の星と呼ばれる太陽や地球なんです

 

この地球が生まれたときは放射能まみれでした。 放射性廃棄物が

固まったようなもの。だから、それから何億年たっても、放射線は

出続けていて、だからこそ生命が生まれた。

 

==>> この記述の前に、「アミノ酸からたんぱく質ができた。

     ・・・雷がないのに、なぜ?と見たら、その岩から放射線

     が出ていた・・・」と書いてあります。

     つまり、放射性物質がなかった第一世代の星には生命が

     宿らず、放射能まみれだった第二世代に生命が発生した

     ということだそうです。

 

p42

 

月がどうやってできたかという説は三つ・・・・・

月と地球が同時に生まれたという双子説。

次に地球の一部がとび出してできたという親子説。

でも、昔、アポロ宇宙船が月面に行って、石を採取して調べたら、地球は

47億年前にできたのに、月の石は53億年前にできている

月のほうが古いので・・・

 

p41(後戻りします)

 

そこに彗星が異常接近してきて、その彗星の周囲にあった氷が、太陽の熱で

溶かされて水になり、地球のそばを通るとき、重力でひっぱられて・・・

 

==>> つまり、月がよそから飛んできて、普通の彗星なら地球の周りを

     まわるわけもないのに、氷(水)があったために、引力で

     地球に引っ張られて衛星になった・・・のかも、という話です。

 

 

 

p51

 

素領域にある復活のエネルギーが「素粒子」

 

「領域」というと、広く大きなものを思い浮かべるかもしれませんが、

素領域はきわめて小さいものです。 主体となる3次元の素領域は、

だいたい10のマイナス37乗センチメートル以下と考えられています。

 

p52

 

身体は60兆個ともいわれる細胞が集まってできていますが、宇宙空間も

素領域が集まってできているわけです。

・・・「宇宙の細胞」・・・・

 

たとえるなら、素領域はビールの泡のようなもので、もともとのビールの

液体部分は完全調和にあたります

 

==>> 分かりやすい譬えがありがたい。

     完全調和の世界は神の世界でビールの液体部分。

     完全調和が破れた世界はヒトの世界でビールの泡の部分って

     ことになります。

     そしてそれが「宇宙の細胞」=「素領域」

 

p52

 

完全調和が破れたところには調和を復活させようとする力が起こるといい

ました。 その力は、それぞれの素領域の中にも生まれているわけです。

その力、エネルギーですね。 それが「素粒子」です。

 

p53

 

素粒子は粒であるとか、波であるとかいわれますが、エネルギーなんですよ。

素領域の中にあるエネルギーのことです。

 

==>> さあ、ここで難しい話になってきました。

     「素領域理論」をチェックします。

     https://kotobank.jp/word/%E7%B4%A0%E9%A0%98%E5%9F%9F%E7%90%86%E8%AB%96-90431

     「四次元時空を分割不可能な最小領域 (素領域という) に区分し,

エネルギーが加わって励起された素領域が素粒子であるとみなし

て,素領域間のエネルギーの授受によって素粒子の生成・消滅など

を論じようとした試論 1966年湯川秀樹により提唱された。」

 

・・・この対談の一人である保江邦夫さんは、この湯川秀樹の

愛弟子ということだそうで、「素領域論」を継承しているようです。

 

 

p55

 

3次元世界では離れているように見えても、6次元世界では同じ場所

ですから。 すると、3次元的には、マンガ「ドラえもん」の「どこでもドア」

みたいなことになる。

 

・・・サイババの物質化も、・・・いまいる場所と、物質のある場所を高次元

の素領域に入ることで結べば、一瞬にして物質化も可能になるわけです。

 

==>> ここでは、質問者の稲葉さんが、南インドの超常現象で有名な

サイババと、富士山の麓と頂上で起こった瞬間移動の話について

尋ね、保江さんがこれに答えているところです。

多次元を考えれば、物理学的に説明できるということだそうです。

 

 

p58

 

・・・死んで魂だけの存在になれば、距離も時間も関係なくどこにでも行ける

わけですね。

 

そうです、魂は完全ですから。 完全調和の一部ですからね。

 

魂の状態になって見てきたとき、認識力はまったく同じですか。

 

同じにあったそうです。 ただ、個性はだんだんなくなるといって

いました。

 

・・・それで彼(木内さん)は「ヤバイ、このままだと完全調和と

合体してしまう」と思って、東京の病院にある自分の身体のほうを

意識して、やっと戻れたそうです。

 

・・・死ぬと個性はだんだん消えるんです。

 

==>> これは3度の臨死体験をした木内さんの話を元にした

     会話になっています。

     人間はビールの泡だったのが、死ぬとビールの液体、

     つまり完全調和の方に呑み込まれてしまうようです。

     そして、意識はあるけれど、次第に個性が無くなっていく。

 

p63

 

個性というのは、人間の生命力のほうについているものです。

肉体を動かしているエネルギーですね。

それは本来、霊魂とは関係ないもので・・・・。

 

・・・死んでも生命力の方が霊魂だと思っている人は、そこにへばりつく

わけですよ。 それを説得して成仏させるのが僧侶の務めなんです。

 

p64

 

「肉体に霊魂が宿る」のではなく 「霊魂に肉体が宿る」

 

p65

 

ここには、素粒子があろうがあるまいが、卵がこようがきまいが、

・・・霊魂がまずあるわけ、この宇宙の中に。

その霊魂は完全調和の一部なんです。

それが稲葉耶季の霊魂。 そこに、たまたまどこかからエネルギーが

回ってきます。 ほかの素領域からエネルギーが回ってきて、パッと

入る。そうしたら、「しめしめ、所定の大きさのエネルギーがここに

入ってきたぞ」と。

すると、稲葉耶季の霊魂に肉体が与えられる。

 

==>> ここは、素領域論に基づく生命の誕生のシナリオですね。

     素領域に完全調和の霊魂がある。

     (ただし、個性の無い霊魂のようです。)

     そこにエネルギーが入って、霊魂に肉体が与えられる。

     (受肉をして成長していって霊魂に個性がくっつく)

 

p67

 

ひな型に合わないわけですよ。 「ここに電子を入れろ」というひな型なのに、

別のものが入ってきてしまったら、たとえばDNAの並びの一部がこわれるわけ。

そこでガンになったり、何かの病気になったりする。

 

・・・それを治すために、「間違って入った素粒子をたたく」という方法が、

薬あるいは放射線などの現代医学的な治療。 薬も放射線も全部エネルギー

ですから。

 

p69

 

・・・スピリチュアルな治療はですね。 素粒子のほうにガンガンぶつけるのでは

なくて、素粒子の入れものである素領域のほうに働きかけるんです。

「おまえ、ちゃんとしろよ。 おまえは完全調和の一部だろう」と。

「不完全な合わないエネルギーを入れたままではダメだろう」と。

 

・・・すると、「ああ、そうだった」と思い直して、本来は入れてはいけなかった、

たとえばクオークを排除して、本来入るべき電子を入れる。

 

p76

 

われわれは、残念ながら破れた側の世界の住人です。体も脳も含めて。

だから、完全調和の世界のことは、どうやっても直接的にはわかりません

 

==>> 一般の医学に関しては薬や放射線で間違った素粒子を叩き出す、

     というのはなんとなく納得できるのですが、スピリチュアル系の

     説明については、保江さんも完全調和の側のことは分からない

     から、ヒーリングや祈りといったもので実際に治ったという

     事実から現象として判断するしかないとしています。

     ここは私にそんな体験はないので腑に落ちません。

 

 

== その2 に続きます ==

 理論物理学vs仏教哲学 「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読む 2 湯川秀樹の「素領域論」と素粒子、3歳までなら神と融合する? (sasetamotsubaguio.blogspot.com)

 

 

 

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