理論物理学vs仏教哲学 「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読む 3 湯川秀樹も岡潔も、完全調和の世界から数式を盗んでいた?

 

理論物理学vs仏教哲学 「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読む 3 湯川秀樹も岡潔も、完全調和の世界から数式を盗んでいた?

 


 

稲葉耶季vs保江邦夫の対談「神と人をつなぐ宇宙の大法則」を読んでいます。

 

 

p114

 

仏教もヘミシンクも科学ではない。

 

ヘミシンクという技術で、意識を3次元でない領域に移していくという

方法論を、Sさんという人がなさっています。 Sさんは東大の物理学科

を出た人です。

 

p115

・・・フォーカス27というのは、そういう固執のない、かなり自由な

意識が行くところだと。 そこから3次元に生まれ変るという、死後の

構図を主張しているわけです。

 

・・・それは物理学のことを全然いっていないんですよ。

・・・モンローさんも音響学の先生で、物理学の先生ではないですからね。

 

p116

その変性意識状態に、彼らは経験的に何回も入って、それを自分たちで

分類したわけです。 だから、仏教でいうところの「阿頼耶識(大乗仏教

でいう深層意識)」みたいなものですよ。 あれも、お釈迦様の弟子たちが

必死に瞑想をして、そのなかで自分たちが共通体験した変性意識に名前を

どんどんつけていって分類したわけです。

 

・・・・科学じゃないですもん、仏教もヘミシンクも。

 

==>> まずヘミシンクとは何なのか。

     https://mindsetpro.com/%e3%83%98%e3%83%9f%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%af%e3%81%a8%e3%81%af/

     「ヘミシンクは、米国モンロー研究所により開発された

音響技術です。脳波を誘導・コントロールすることで、

理想の脳の状態を作ります。

ヘミシンク Hemi-Syncとは、(脳の)半球を意味するHem

isphericHemiと、同調(シンクロ)を意味する

SynchronizationSyncを組合せた名前で、左右両脳同調

効果ということになるかと思います。」

 

・・・よく分かりませんが、検索していると、素晴らしいと

賞賛する見方と、危険だという見方があるようです。

 

さて、ここの対談では、稲葉さんの質問を保江さんは、バッサリ

切り捨てているんです。 仏教も一見科学にみえるヘミシンクも

科学ではないと。

理論物理から見れば、仏教は当然として、ヘミシンクもいわゆる

疑似科学だと言う事なのでしょう。

 

しかし、私がすっきりしないのは、上記のp103の対談で

いきなり「愛」という言葉が出て来ていることです。

一応物理学用語である素領域と素領域の間の相互作用で決まる

と表現しているんですが、なんでそこに「愛」がでてくるのか

さっぱり分かりません。

 

p118

 

いま、われわれが意識と思っているものは、あくまで脳神経組織が生み出した

ものです。 だから自分、自我というものが生まれている。 ところが、

死んだらそれは消えます。 もう自分というものがなくなる。

 

・・・魂に属性はないんですよ。 全部同じものなんです。

 

・・・木内さんも「このままじゃもうダメだな、もともとの何かに

飲み込まれそうだ」というギリギリで戻れました。 もうちょっと

行ったら戻れていなかったといっていました。

 

==>> ここでは、3度の臨死体験を語った木内さんのことが

     話されています。 魂、霊魂というのは、完全調和の

     世界にある属性のない一般的な魂ということのようです。

     空の素領域に素粒子というエネルギーが入ると、肉が

     ついて、我が生まれる。

     死ぬということはその逆だから、肉が滅びて、エネルギー

     が抜けて、素領域が空になって、完全調和の世界に

     飲み込まれてしまう、ということのようです。

     そういう意味では、仏教で一人一人に仏性があるという話

     と似ていますね。

 

 

p129

 

・・・肉体がなくなると、選ばれた人であろうがなかろうが、みんな

全体に戻る。 つまり神になるわけですか。

 

そうですよ。 キリストもいっています。「御国はわれわれの中にある」と。

神道でもそうです。「われわれが神」なんですよ。 ・・・そっちが本質

なんです。 肉体が消えて、個別性がなくなっても神としては存在します。

 

「それぞれが神である」とか「すべてが仏である」というのもそういう

意味ですか。

 

まさにそうです。

 

==>> これを読んでいると、なんだかプラトンのイデア論を思い出します。

     https://kotobank.jp/word/%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E8%AB%96-1270028

     「古代ギリシアの哲学者プラトンの中心的な哲学思想

イデアとは形相すなわち本質の意。プラトンは観念を

イデアと解したが,これは経験によって知られるのでは

なく,生前に霊魂が住んでいた神の国を想起する

(概念想起説)ことによって知られるとした。すなわち,

イデアを,経験的諸事物の本質ではあるが,それらを超越

している観念的実体と考えた。」

 

p133

 

・・・1962年に湯川秀樹先生(日本人初のノーベル賞を受賞した

物理学者)は、スーパーストリングセオリーも膜理論も包括する素領域

理論を出されている。 ただ、それは人気がなくて、全世界の物理学者

のなかのほんの一握りしか認めてくれなかっただけで、僕は最初から、

湯川先生のこの理論が正しいといっています。

 

==>> 超ひも理論や膜理論が出て来ました。

     私も入門書をちらりと読みました。

     そういうものを包括した理論を湯川秀樹さんが既に

     素領域論として出していたとは知りませんでした。

     頑張れニッポン!!

     

p145

 

総合失調症という病気がありますね。 ・・・・統合できない人格は病気

と判断されますけど、脳神経細胞の働きだけを見るなら、生物としては

そのほうが正常ともいえるわけです。 それが異常というよりは、むしろ

統合できていることが奇跡といえます。

 

・・・脳にはできないことを神様が仕向けている。そここそが、われわれ

が魂として全体を、つまり神を持っている部分なんですよ。

 

==>> この部分にも私は違和感を感じます。

     なぜなら、過去に読んだ本の中で以下のような総合失調症に

     かんする臨床的な事例があったからです。

     http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2020/12/post-94a3c0.html

     「p260

驚くべきことに、急性の統合失調症の発症後に、人為的に

誘発したてんかん発作によって処置されたメドゥナの患者のうち、

95パーセントで症状が改善した。 さらに、発症から一年

以内に誘発発作による治療を受けた患者の80パーセントが

治癒した。 うつ病に対しても、メドゥナの研究では一貫して

高い成功率が得られていて、現在でもこの治療法は、約八割

の症例で効果をあげている。

==>> この実験的な治療は、

     「統合失調症脳ではアストロサイトが減少し、

     てんかん脳では増加していると仮定し、これら二つ

     の病状が相殺されているように見えた理由は、

     両方の疾患が合併すると、脳内のアストロサイトが

     重要な正常バランスを回復するからにすぎないから 

     だろうと考えた」ことで、メドゥナの患者に

     対しておこなったものと書いてあります。

     アストラサイトというのはもう一つの脳を

     構成するグリア細胞の一種だということです。」

 

・・・  これを読むと、保江さんが「脳に出来ないことを

     神が仕向けている」というのは、いささか飛びすぎ

     だと思えるんです。

     少なくとも、医学での対応ができるようになってきて

     いる現実を見ると、脳に統合する機能が備わっている

     と考える方が妥当ではないかと思います。

 

こういうぶっ飛んでいる内容については、過去に何冊か少しマイルド

な本を読んで、ダラダラと感想文を書いていますので、ご参考まで。

「意識、心、色即是空、釈迦、臨死体験、脳科学、そして 宇宙、

物質、素粒子・量子論 -その1」

http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2018/01/post-a067.html

 

上記のリンクのその2に書いた以下の話は、保江さんの考え方に

近いものを感じます。 保江さんも、ぶっ飛ばないで物理学の

範囲で凡人を説得して欲しいなあ。

研究費を稼ぐために、スピリチュアル系の本をたくさん書いて

いるのかなあ・・・・憶測です。

 

「E02

驚きの理論を提唱しているのは、英グラスゴー大学などで教鞭を

取り、現在は著述家として活躍している化学者のデイヴィッド・

ハミルトン博士。博士によると、全ての意識は肉体の誕生以前から

宇宙に存在し、死後も存在し続けるという。一体、どういうことだろ

うか? 英紙「Express」(713日付)の記事から博士の発言を

引用しよう。

「我々一人一人は人間として地球上に誕生する前から存在しま

した。我々は純粋な意識ですが、現在は身体的・物理的レベルで

存在しているということです」(ハミルトン博士)

 

E03

さらに、ハミルトン博士は、意識は量子レベルで時空を超えて

存在するとも語っている。

これは、「エネルギーは創造されもしないし、破壊されもしない。

ある形から別の形へ変わるだけである」と語ったアインシュタイン

の物理学とも通底するように思われる。」

 

 

p161

 

夜、寝ていた湯川先生は、雷の音でふと目が覚めた。そのとき、目覚める

直前に、夢の中の自分が「中間子理論」というものを考えていたのを覚えて

いた。 雷の音で突然目覚めたから、まだ鮮明に記憶に残っていたんでしょうね。

湯川先生は、常に枕元に、・・・・あれ(紙)を置かれていた。

・・・夢の中で自分が考えた中間子理論を、その紙に書き留めて、また寝た。

で、翌朝見たら、「あっ、これはすごい」というので論文にして、それが

ノーベル賞ですよ。 論文はわずか2~3ページで、すごく短いんです

確か数式は三つくらいしかなくて、非常に初歩的。 それでノーベル賞なんですよ。

 

 

p166

 

岡潔は寝ている間に情報を得ていました。 寝ている間というより、

ときどき意識がなくなって仮死状態になり、あっちの世界に行っては、

さまざまな数学的真理を見てきたようです。 帰ってきて、パーッと

論文を書き、世界的に有名な多変数関数論の理論を完成させました。

 

その「真理を見てくる」手法を授けたのが、空外上人だったようです。

その後、岡潔の仲介で、湯川先生も空外上人から教えを受けるように

なります。

(ただし、湯川さんが空外上人から手ほどきを受けたのは、ノーベル賞の

 後だそうです。)

 

==>> まさに神がかりのノーベル賞ですね。

     p98に書いてあった天才に上から何かが降りてくる話です。

     保江さんは、それは完全調和の世界にあるデータを見に

     行っていると考えている。

     空外上人については、こちらでどうぞ。

     https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E7%A9%BA%E5%A4%96

     「山本 空外(やまもと くうがい、1902913

200187日)は、哲学者、浄土宗の僧。」

1935年「哲学体系構成の二途 プローティーノス解釈試論」で

文学博士。36年広島文理科大学教授。被爆し同年望月信亨の

もとで出家。」

 

p186

 

彼女はいままでに50人ぐらい看取っているそうですが、12人めから、

亡くなるときに口から白いものがスーッと出るのが見え始めたそうです。

 

・・・彼女はそれをきっと大事な魂かエネルギーかだと思って、身に受け

始めた。 そうしたら、すごく体調がよくなってきたそうです。 それで、

発達障害の子供だとか、病気の人だとかも呼んで、いっしょに浴びたり

亡くなる人の体にさわったりしていると、みんな元気になって、自閉症が

よくなる子まで現れた。

 

・・看取り士が依頼されるのは、たいてい身寄りのない人なので、そう

やってにぎやかにお見送りするのは、ご本人も喜んでくださるようです。

 

==>> この話は私にとっては「トンデモ」の類の話です。

     上記の記述の後には、その白いものがエクトプラズム

     呼ばれる魂の一形態であると保江さんは答えています。

     また、伯家神道の神事で、皇室での継承の行事とも

     されていると書かれていますが、実際に現代でも

     行われているのかは書かれていません。

 

     エクトプラズムについては、こちらです。

     https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%BA%E3%83%A0-444328

     「エクトプラズムは霊媒の体表、とくに口、鼻、耳など

体孔(たいこう)から出るといわれ、霧状、流体状、固体状

など濃度を異にして現れ、交霊会でおこる幽霊現象の素材

となったり、テーブルや椅子(いす)が空中に浮揚したりする

現象での支持物になるといわれる。しかし、今日の超心理学

ではその存在はまだ確認されていない。」

 

     ・・・率直に言って、理論物理の保江さんにこういうことは

語って欲しくないですねえ。

     僧侶である稲葉さんが語るのなら分かりますけど・・・

 

 

p196

 

・・・いま稲葉さんが見ている視点、視界、そのままを僕が見るということ

です。 

    

・・僕は知らなかったんですが、自閉症の子供は誰かといるとき、その誰か

の目に映った自分自身の姿もそこにダブって見えるそうです。 つまり、

その相手の視線でも見えてしまう。つまり、ほかののぞき穴からも見ている

わけです。

 

・・・本人はそれがつらくて、誰かといると自分の姿が見えるので、

混乱して人といるのをさけるようになる。 それでひきこもりになり

やすいそうです。

 

・・・「自閉症の子供って神様に近いんですよ」と、加藤先生は

おっしゃっていました。

 

==>> この加藤先生というのは、不登校の子供たちを山小屋に

     集めてケアをしている方だそうです。

     

 

p198

 

古い剣術の指南書に、「相手と立ち向かっているときに相手の後ろ姿が

見えたら勝てる」というのがあります。 相手はこちらを向いている

ので、普通に考えたら、相手の後ろ姿が見えるはずがない。 しかし、

先ほどいった「神の目」に近づけば、それも可能なわけです。

 

p199

 

その阿波先生は、「自分が的になるんだよ」という言葉を残しています。

これものぞき穴から目を引き、グルっと回って的のほうから見るということ

でしょう。 神の目に近づくことで、文字どおり神がかった弓道の

も可能になるわけです。

 

・・・私は、おそらく柳生十兵衛もそうだったと思っています。

 

==>> 保江さんは、少林寺拳法武道専門学校講師。冠光寺眞法・

冠光寺流柔術創始・主宰。大東流合気武術宗範佐川幸義直門。

身体運動文化学会会員。日本サイマティクス・セラピー研究

会顧問など、様々な武道に精通されているので、このような

話になっているようです。

wikipediaでご覧ください)

 

p208

 

僕は自分でもうさんくさく見えやすい人間だということは承知して

いますが、そう見えるだけで、うさんくさいことをやっているわけ

ではありません。 多少、変り者だったり、怠け者だったりするだけで、

臆面もなく自分でいいますが、必要なことには真剣に取り組む誠実な

にんげんです。

 

==>> 保江さんが「おわりに」に書いている言葉です。

     是非とも「素領域論」を完成して、ノーベル賞を取って

     もらいたいと思います。

 

     この素領域論を念頭に置きながら、私なりに仏教の世界を

     どう考えたらいいのかゆっくりと進めたいと思います。

     もっとも、仏教は科学じゃないと保江さんは言い切って

     いますから、類似点だけで理解するというのは邪道で

     しょうけど。

     まあ、でも、高野山のお偉い坊さんが、密教と最先端

     物理学は似ていると宣伝しているんで、ド素人の私が

     ほざくぶんにはお許しください。

 

     保江さんの素領域論の本がないかと、アマゾンで検索したら、

     この著者はスピリチュアル系の本をたくさん出版している

     ことが分かりました。

     その中から、やっと一冊だけ、真面目に素領域論を書いたと

     思われる本を発見、「神の物理学: 甦る素領域理論」

     早速注文しました。

     「神の」というのがちょっと気がかりですが・・・・

 

 

=== 完 ===

 

 

 

 

 

 

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